第28話:ルークめでたく退院。

プリティスの力がどれほどのものだったかは誰にも分からないが、

その後の精密検査でルークの体からガンは綺麗になくなっていて、

少なくとも医者を驚かせたことには違いなかった。


再度の精密検査の結果、やはりどこにも異常なしと出た。


こんな馬鹿な、あるいは奇跡のような出来事があるものかと医者の

頭を大いに悩ませた。


プリティスの魔法はルークを救ったのだ。


数日後、ルークは何事もなかったように退院した。

ソフィアさんとチャーリー、それに、ルークの命の恩人プリティスも

元気を取り戻して迎えに来た。


魔法を使ったプリティスは地球のマナを少しだけ分けてもらって

自分の体力を回復していた。


「ルーク、退院おめでとう」


三人が退院の祝いの言葉をくれた。


「ありがとうみんな・・・」


自分を迎えに来たプリティスにルークが言った。


「プリス、ありがとう・・・」

「病気になる前より、今のほうが元気かも・・・君のおかげだよ」


ルークにとっては何度、お礼を言っても言い足りないくらい感謝の心

が篭ったありがとうだった。


「元気になってよかった・・・ルーク」

「もし私の力でも治すことができなかったらどうしようかって、不安で

しかたなかったけど・・・本当によかった」


プリティスはソフィアさんからも改めてお礼を言われ た。


チャーリーからも・・・チャーリーから、なんでお礼を言われるのか

プリティスには分からなかったけど、それでも嬉しか った。


チャーリーの場合は、たぶん親友を救ってくれたことへ のお礼だろう。


「俺、プリスの放つ光をいっぱい浴びたから、どこか悪いとこ

治ってるかも・・・」


「あ〜チャーリー・・・おまえ性格と水虫は治ってるかもな・・・」


「ルーク、おまえは病気は治ったかもしれないけどデリカシーのなさと

根性は治ってないよな・・・」


チャーリーは皮肉たっぷりにルークに返した。


その夜は、みんなでルークの退院祝いをした。


チャーリーはご馳走の食い過ぎとオレンジジュースの飲み過ぎで腹が

タプタプ状態でゲブゲブ言いながらソファにダウンしてグースカ寝てしまった。


ソフィアさんは、ルークとプリティスに気を利かせてくれてキッチンに

引っ込んでいった。


ルークとプリティスは一緒に彼の部屋に上がっていった。


「それにしてもこんなことってあるんだな・・・君ってすごいよ」


「私、ルークの役に立てて、ほんとによかった・・・」

「魔法がちゃんと使えてよかった・・・」


「君のおかげだね」


ルークとプリティスは、この間のキャンプの夜のようにふたり仲良く並んで

窓越しに満天の星空を見あげた。

このあたりは晴れた日は特に空気が澄んでいて星がよく見えるんだ。

ずっと見ていると吸い込まれそうな星空。


「綺麗なお星様だね・・・」


「そうだね・・・」


ふたりは顔を見わせて笑った。


「ねえプリス・・・キスしていい?」


「・・・・うん」


つづく。


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