第9話 階級について②


「俺は当然なりたてだから、この『下位』って階級でいいのか?」


「そうです。なお、階級によって案内を担当するもののも変わってきます」


 階級に加えてレベルとは。


 案内人の世界も、やはりと言ったらいいのか、格差社会なのか・・・


「階級とレベルが上がっていけば、最終的にはより強大な力を持つモンスターをはじめとした案内を行えるようになります」


 ――なんだって⁉


 モンスター⁉


 いや、それよりも、モンスターの転生なんてあり⁉

 転生は人間だけじゃないの⁉


 シレナはなんてこともなく、さらっととんでもない事実を口にする。

 今度は逆に俺の方が「聞き捨てならない台詞」だ。


 モンスターというからには、もしやと思っておそるおそる質問した。


「モンスターっていうのはまさか、俺が二回目の転生先で襲われたとかいう、あんな生物やこんな生物を指していたりする感じ?」


 シレナは今度はニッコリと笑顔になって口を開く。突然みせた表情の変化に多少たじろぐ。絵に書いたような不敵な笑みだったからだ。


「ご安心ください。下位に位置している間は、人間以外の案内を担当しませんから」


「でも、ゆくゆくは担当する日が来るんでしょ?中位とか上位になったら」


「始めたばかりの天道さんには、まだまだ先の話になりますが――そうですね。上位階級ともなれば、ドラゴンや俗にいう魔物などを案内する可能性がないとは言い切れないでしょう」


 あ――・・・


 天を仰ぎ、頭を抱える。

 もっとも、見上げても真っ黒いだけなんだが。


「どうかしましたか?天道さんはもう既に二回、死んでいるのですよ?今更臆する必要などないと私は思うのですが」


 首を傾げ、不思議そうに尋ねるシレナ。


「いや、そういう問題じゃなくてさ、うん。ま、まぁいいや。説明の続き、してくれる?」


 参ったな・・・


 何回死んだとしても、どこへ行こうとしても、結局この手のしがらみからは逃れられないのか・・・

 どうしようもないとはいえ、気分的にげんなりしてしまう。


「続いては杖についてです。杖は基本的に転生の案内をし、得た経験値に基づいて強化されていく仕組みとなっています。また、経験値は積めば積むほど新しくを獲得できるようになるため、杖の強化の一助にもなるはずです」


「そのスキルっていうのは、現時点で俺は使える?」


 ゲームなどでもよくある話だ。一番最初はなんらかの技とかが与えられていて、そこから派生を繰り返していくパターン。もしくは、最弱のレベルに合わせて付けられた、いわばお情け程度の技。


 どちらにせよ期待薄である点に変わりはないが、一応聞くだけ聞いておこうくらいの感覚でいた。

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