第6話 波乱の予感


「一回目の事故、二回目のドラゴン襲撃って・・・俺、散々じゃん」


「うーん。私としては、非常に答えに困るところだとでも言っておきましょうか」


「冷たいなぁ。神様代行の案内人なのに」


「誰に対しても平等に。これが神からの教えです」


 ちぇっ。口を尖らせつつも、俺は本題の続きをシレナに問う。


「で?俺はいよいよどうなる?次は宇宙の果てまで飛ばされるとか?」


「いや、あながち間違いではないかもしれません。宇宙の果てというか、天道さんにはもう・・・


 いったい、宇宙と転生のできるできないが、どう関係しているのかがまず分からない。

 また、分からないことが次から次へと押し寄せてくるせいか、驚く気力も失せてきている。


「シレナに質問。これ以上はできないって言うけど、どうして俺はここに?ここは転生先をいざなう空間でしょ」


「忘れたのですか?私は言いましたよ。天道さんは極めて異例である、と」


「忘れたわけではないさ。三回も来た人は初めてだってやつだよね?」


「要は転生するための権利を使い尽くしたも同然。何をどうあがいても、それは覆りません。ですから――今から選択肢を与えます」


 シレナが人差し指と中指を上げる。選択はふたつある、という意味だろうか。


「転生権利を失った天道さんには、行くあてはありません。このまま潔く転生を諦め、人が本来あるべき死に方を迎える方法がひとつ」


 転生は確かに、巡りあわせの『運』勝負だ。現世で死んだ全ての人が転生するなんてありえないし、もしそうなってしまったらとてもシレナの手に負えなくなる。

 が、最終的に俺は二回も転生した。

 実は恵まれていたとか?いやでも、シレナは非常にいい迷惑だとか嫌そうな素振り全開だったし・・・うーん?どっち?


「次は?」


「私、シレナと同じくです」


「はっ?」


「以上の、二択になります。さぁ、いかがいたします?」


「ちょっ、ちょっと待ってよ!『いかが?』じゃなくて!ふたつ目の!案内人の道って何それ⁉」


「単純な話です。異世界への扉――目の前にありますよね――を開ける条件が整わないのならば、この場所で新たな責務を全うする」


 扉の意義は理解している。実際にくぐったのだから。この先が次の始まりの地であることも。


 だが、俺が案内人⁉転生する人の⁉


 そもそもシレナみたいに、神の導きとやらを受けてもいないんですけど?


 ましてや、神の姿を拝んだわけでもなく声を聞いたわけでもないぞ?


 これは、大波乱の予感だ・・・

 

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