第5話 二回目は?
「じゃあ、次。二回目は?」
「二回目は、ですね・・・これもまた不慮というか運がなかったというか。あまりいい最期ではありませんでした」
「本気で言ってる?」
シレナの言うことに嘘はない。分かっているのに、認めたくなくてつい疑い深く聞いてしまう。
「まず天道さんは一回目の転生で、とある異世界に飛びました。その異世界では魔法が日常に溢れている地でして」
「魔法?魔法ってあの?」
俺は魔法なんて使えたのか!驚くと同時に、どうして変な死に方をしたのか、余計に気になった。
魔法が使えたなら、それ相応の武器になったではないか!
「そうです。誰もが抱いているような、あれです。しかし分かりますか?魔法が必要ということが何を意味するのか、が」
――?
魔法の使用が意味するもの?
ってなんだ?
代償?障害を伴うとか?
さまざまな憶測が飛び交う。
「いや、なんだろう?ちょっと分からない」
「現れるんですよ。俗に言う、あんな生物やこんな生物が」
「・・・もしかして、ドラゴン、的な?」
「御名答。要はファンタジーですよ。魔法の力なくして、ドラゴンをはじめとするモンスターには到底敵いっこない」
ドラゴン、モンスター。
空想上の存在であるはずなのに、自らがそんな現場に居合わせていたと思うと、不思議でならない。
「でも!俺は普通に魔法は使えていたんだろ?」
「ええ、もちろん。人並みには使えていたと私も報告を受けています」
「報告、なの?」
最後にさり気なく言った台詞が妙に引っかかったのだ。シレナは「案外鋭い面もあるんですね」と言いながらも、答えてくれた。
「私はあくまで立場は案内人。案内するまでが務めになりますから、転生して以降の生き方を知るのは『報告』で、という形が採られています」
「ふぅん」
実際に見たわけじゃないのか。報告が違っていたなんて事態があったらどうするのだろうかと思ったが、そこは俺が干渉することでもないのだろう。
「天道さんは、生活していた村の中では魔法の腕はたしかなようで、周囲からの信頼もあったとか。ですが、そのことが仇となってしまった」
シレナの言葉を待つ。もうどうにでもなれ。どうせ記憶もないし終わった出来事なのだと、俺は半ばやけくそな気分でいた。
「魔法の腕が立つが故に、転々と村の外へ出ては数々の依頼をこなしていく日々――とりわけ順調だったそうですが、とある日、普段生息するはずもない土地に突如として現れたドラゴンに襲われた、と私は聞いています」
「普段生息してないドラゴンって・・・やっぱり俺、相当運がないんだなぁ。あっけないにも程があるって我ながら思っちゃうな。一回目の事故に続いてさ」
多少の不器用さというか鈍くさい性格は認めていたものの、再度しょうもない人間のレッテルを貼られたに等しい。
どうしたもんか、俺・・・
と、ひとり嘆いている自分がいた。
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