剣王学園黙示録

 どうせ転生するならファンタジーな異世界に転生したかったな~。


 なんて言っても仕方がないのだ。

 私はこの世界、絆が世界を救う学園RPG「剣王学園黙示録」を救う、手助け、をしなければならない。


 そうしないと多分、世界が滅ぶ。


 何より――泰誠が死ぬ。



 主人公・芝浦泰誠(デフォルト名、変更可)はある日、超人的な力に目覚める。

 その超人的な力を使い、異世界からの侵略者と人知れず戦うこととなる――

 これが「剣王学園黙示録」の筋書きだ。


 この超人的な力。

 作中で<スキル>と呼ばれている、そのスキルを目覚めさせ・より強くしていくためには。



 ……女の子と仲良くならなければならない!

 仲良くなれる女の子は5人!



 このストレート過ぎるシステムが、ギャルゲーと呼ばれる所以だ……。



 泰誠とそれぞれの女の子達の間には、<好感度>というものが設定されている。

 ギャルゲー、乙女ゲーには標準装備の好感度システム。


 剣王学園黙示録の珍しいところは、その好感度が<愛情度>と<友情度>の2つに分かれているところだろうか。


 愛を育む言動をすれば<愛情度>が、友情を育めば<友情度>が上がる。

 上限はそれぞれ200。


 ここからが重要だ。



 愛情度を上げると、攻撃型のスキルを覚える。

 友情度を上げると、補助型のスキルを覚える。


 愛情度が100を超えたヒロインは戦闘能力に目覚め、一緒に戦ってくれるようになる。


 愛情度が200になると告白イベント発生。

 その際に覚えるスキル(通称・恋人スキル)はラスボスをも余裕で倒せる――


 ちなみに剣王学園黙示録は、この恋人スキルがチート過ぎて「バランス調整がゴミ」の烙印を押されている。

 私みたいに推しの声目当てのプレーヤーには最高だったけどな~。



 中でもメインヒロインの廣井アイラは、<愛情度>を上げた際に覚える戦闘スキルが全部チート級に強い。


 そんなわけで、泰誠には是非アイラと恋仲になってほしいんだけど……。



 (だってそうしないと、泰誠が死んじゃう)



 これがゲームなら。

 例えゲームオーバーになっても、もう一回やり直せばいい。


 でも今はゲームじゃない。

 ゲームオーバーじゃなくて、ひとっとびに「死」だ。



 ――泰誠を死なせるわけにはいかない。


 泰誠に強くなってもらって、世界を救ってもらわなくちゃ――



 ……そのためにはあのアリ大好き・ぼんやりのんびり泰誠を、こう、

 イケ散らかした男前に仕立て上げなきゃいけないのだ……!!



 ……できるのかなあ、そんなこと……。

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