この2人でラブコメ始まんないかなぁ〜

兄弟は仲良く話ながら通学路を歩く。

近所の人からは、仲良しね〜や今日もイケメンね!などと声をかけられている。


そう、そうなのだ!弟が美形の爽やかイケメンなら兄もまたイケメンなのだ!


「おはよ!せい兄さん!紡くん!」


振り返ると2人に声をかける少女の姿があった。


「おはよ、芽依ちゃん。」

「芽依おはよー。」


高畑芽依たかはためい

紡の同級生で15歳の女の子だ。

肩口に切りそろえられた黒髪とえくぼが可愛い美少女である。

2人とは家が近かったこともあり、家族ぐるみで仲の良い幼馴染――。


あー、言ってて辛くなってきた。

なんなの?イケメンでしかも可愛い幼馴染がいる兄弟とか、まじリア充爆発しろ!私なんて彼氏は学生時代の一瞬しかできてないのに!...え?うるさい?いいじゃない少しくらい!あの子のことでスト―― 。(進まないのでミュートにしましたBy上司)


「紡ちゃんと起きれたんだ、遅刻すると思ってたのに。」

「お、起きれるし!今日は兄貴に起こして貰わなくても起きれたし!」


しっかりと普段は起こして貰っていることをばらしながら反論する。


「はいはい、そうだね〜起きれたね〜」

「なんだよそれ!そういう芽依だって起こして貰ってるの知ってんだからな!」


芽依もまた姉である恵依に起こして貰っていることを紡は恵依自身から聞いていた。


「そ、そんなことないもん!違いますからね!せい兄さん!私ちゃんと1人で起きれますから!勘違いしないでくださいね!」


焦ったように訂正する芽依。

似た者同士の2人の会話を聞きながら微笑みかける一誠。


「大丈夫だって、1人で起きれないなんて別に普通のことだよ。俺だってたまに寝坊するし、恵依も寝坊するんだから。」


そうなだめながら2人の頭を優しく撫でる一誠。


「ふあぁぁ...。」

「ちょっと、兄貴恥ずいって!」


片方は顔を蕩けさせ、片方は恥ずかしがりながらも満更ではない反応をする。

本当に似た者同士である。


『あぁ〜、この2人でラブコメ始まんないかなぁ〜、芽依ちゃんなら幸せにしてくれると思うんだよね。ねぇ?どう思う?』


え?もしかして私に聞いてる?今いい感じの流れだったよね?青春の1ページって感じだったじゃん!なんでそんな思考になるわけ?てか私に聞くとかありえないでしょ!


『そうかぁ?現に話せてるんだから問題なくね?』


問題あるの!貴方になくても私にあるの!どこの世界に相談に乗ってくれる天のナレーションがいるってのよ!てか、干渉したらおこられるの、ただでさえリア充見てイライラしてるのに、怒られるなんてたまったもんじゃないわよ!


てか、貴方ってラブコメとか知ってるのね。

ただの拗らせ童貞かと思ってたわ。


『よくぞ聞いてくれた!俺はラブコメ学校大好きなんだ!古今東西ありとあらゆるラブコメを―。」


その話長い?長いなら別に興味ないからね。


「あ、そうだ!2人の写真撮ってあげるよ。」


一眼レフを見せながら一誠が言う。

うわぁー話しそらしたぁ〜。


「別にそんな、紡と写真なんていいですよ。」

「はぁ?こっちから願い下げだわ。」

「そんなこと言わないで、撮らせて欲しいな?」


言い争いを始めそうになった2人をなだめながら一誠はカメラを構える。


「撮るよー。2人とももっと寄って寄って!いい感じだね。はい、チーズ。」


パシャパシャと何枚か撮る。


「うん、いいね!2人ともありがと。後で送るね。」

「私せい兄さんとも撮りたいです!紡ほらカメラやって!」

「ずりぃ!俺も兄貴と撮りてぇのに!」


『なぁ!聴いたか!紡が俺と写真撮りたいって!なぁなぁ!尊すぎん?!』


いいって、いちいち報告いらんて。


写真を撮り終わった3人はまた歩き出した。

学校が近づいて来ると、学生の他に保護者も多く見られてきた。

ガヤガヤとした騒々しさの中で3人は門出の式へと向かうのだった。


「あ、お兄さんだぁ〜!」


喧騒の中でボソッと呟く誰かの声が、すぐに消えてなくなった。


―――――――――――――――――――――――

次回予告


どうも〜本編で酷い扱われ用の天の声です〜。

ついに学校に着いて卒業式までもうまじか!

でも何やら、あの拗らせ童貞キモブラコン男に不穏な空気が!

これは飯うま案件ですわ〜!

給料下がっておかずがなくなったからいいタイミングですね!いつもより多めに炊こーっと!


次回〜ほんとにご飯は美味しいの?〜

お上がりよ!


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