皆のためとか言って正当化する人が1番うざい
「これより
教頭先生の会式の言葉と共に卒業式が始まった。
なぜか最前席に座り卒業生を見渡す一誠。
ニコニコと笑ながら来賓の祝辞や校長の長々とした言葉を聞いている。
なぜ、一誠が
一誠は弟の為ならなんでもするのだ。
紡達と一緒に体育館に入ることで、保護者の方々は大人びた中学生だと思い道を開ける。
それに加えて、周囲の大人の何か事情があるのだろうと気を使い何も言わない。
その結果いち早く体育館に侵入し、堂々と最前列に着席したのだ。
汚い、実に汚い。
自分の容姿と日本人の空気を読むを理解して当然のようにやってのけるその心、ドブ川のようにめっちゃ汚い。
校長の挨拶が終わり、卒業証書の授与が始まる。
「3年1組、出席番号1番。青木 圭介――。」
紡のクラスは3組なのでまだ先なのだが、そわそわと落ち着きないようにたたずむ一誠。
あぁもう!なんで普段は不躾なのにこういう時だけ子供見たいなのよ!本人より緊張してるし...。
カメラの設定を確認しては試し撮りしてまた確認する。
何度か繰り返した後についに出番がくる。
「3年3組、出席番号2番。四阿 紡。」
バッと顔をあげてカメラを構える。
ゆっくりと壇上に上がっていく紡に合わせて何度もシャッター音を響かせる。
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ―。
それはもう狂ったように撮り続けている。
隣に座る保護者が苦笑いするほどには取り続けていた。
静寂を貫く体育館にシャッター音の嵐...ほんと迷惑でしょ!やめなさい、こっちまで恥ずかしいでしょうが!
『うるさいぞ、今俺は最高の瞬間をカメラに収めて皆に届けるという使命を果たしているところだ!邪魔をするな!』
は、はぁ?貴方ねぇ!皆って誰よ!皆って!皆のためとか言って正当化する人が1番うざいの知らないの!?そもそもその写真欲しがるのは貴方くらいでしょうが!
『そんなことは無い。将来紡とラブコメするヒロインは写真を欲しがるに決まっている!』
などと馬鹿なことをいいながらシャッターを切り続ける一誠。
それは紡が着席し、兄の行動の恥ずかしさに顔を赤くするまで続いたのであった――。
いや、赤くなった顔もレアとか言ってめっちゃ撮ってました...。
―――――――――――――――――――――――
卒業式を終えた兄弟は校庭で話していた。
「兄貴!あれは恥ずいって!流石に撮りすぎ!」
「そんなことはない!紡の成長を記録することが恥ずかしいわけないだろう?それに来られなかった母さんも見たいだろうしな。でも、紡に恥ずかしい思いをさせたのは悪かった。許して欲しい...。」
紡の言葉に捨てられた子犬のような目をする一誠。
普段のクールな顔がよくもまぁこんなに愛らしくなるわね...ぐぬぬ、ちょっと可愛いじゃない。
「い、いや怒ってる訳じゃなくて...僕の方こそごめん、兄貴は僕のためにしてくれたんだもんね。ちょっと言い過ぎた。」
兄を許す弟、いやちょろ!ちょろすぎるって紡くん!一誠の暴走を止められるのは君だけなんだから、もうちょっと頑張って!
『このちょろさがまた最高なんじゃないか!』
貴方は黙ってなさい!
「でもせい兄さん、もうちょっと自重してくださいよ。私まで恥ずかしかったです。」
いつの間にか芽依がいて話に混ざる。
「ごめんごめん。芽依ちゃんのも撮ったから後で送るね。すごく可愛かったよ。」
ニコリと笑いかける一誠。
そんなこと言ったら...
「か、かわっ!かわわっ!」
あぁ〜、芽依ちゃんが壊れた。
「あぁ〜、芽依が壊れた...。」
紡くんとハモっちゃったよ...。
『貴様ァ!俺を差し置いてハモるなどと許さん!』
そしてめんどくさい...。
「はぁ、芽依はおじさんとおばさんの所に行かなくていいのかよ?来てるんだろ?」
「ハッ!だ、大丈夫、お母さん達には2人のところ行くって言ってきたから。」
再起動して恥ずかしそうに答える芽依。
そしてモジモジとしながら一誠を見る。
「あの、せい兄さん...私可愛かったですか?」
「ん?もちろんすごい可愛かったよ!」
この無自覚童貞が!
ほんと1回爆発しろー!
「お兄さん?」
3人の間にぬるりとした声が響く。
3人が目を向けるとそこには女の子が立っていた。
「お兄さんお久しぶりです。また会えて嬉しいです!」
にっこりと笑う彼女は、松本 清香。
3ヶ月前に一誠がやらかした生徒会長である――。
―――――――――――――――――――――――
次回予告
どうも〜、どうしても爆発して欲しい天の声です〜。
やっと卒業式が終わりましたね...。
さて新キャラ清香ちゃんの登場です!
本当は私のご飯のために飯うま展開にしてくれるはずだったのに無駄に話を長くしたやつ爆発して欲しい。
次回、次回こそは美味しくご飯を食べるんだもん!
次回〜ご飯にはちょっと濃いおかずが欲しい〜
美味しいよ!
読んで頂きありがとうございます!
ぜひ応援していただけると嬉しいです。
ブックマークやコメント、☆ボタンなどで作品の応援をお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます