第21話 ダンジョン外の魔物
掲示板――――
おっさんが行く! 廃墟ダンジョン解説チャンネルについて語るスレ パンツ24枚目
489名前:名無しのダンジョン募集中さん
事件ばっか注目されるけど普通に面白いチャンネルだよな。今日のつ草配信で改めて思ったわ
501名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>489 ずば抜けて面白い訳ではないけどね。元々配信主の凸は固い配信をしたかったみたいだしこんなもんじゃないかな。安心して見られるのはいいことだ
522名前:名無しのダンジョン募集中さん
いや、宙チャンネルがこんだけ協力してればそれなりに面白いのは当然のような気がするけどな。まだドーピング状態だろ。ノ宙が離れたら底辺配信者一直線
528名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>522 バカかよ。一番熱を上げて協力してんのがノ宙だっつのう。それも含めて凸の実力だろ。ノ宙信者うぜえわ
535名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>528 配信者同士は仲いいのにケンカすんなよ。ここはレイのじゃのパンツを語るスレだぞ。浴衣の下にどんなパンツをはいてるかを語れよ
540名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>535 草。はいてるわけないだろ! 幻影だぞ
545名前:名無しのダンジョン募集中さん
今日の浴衣姿可愛かったなあ。ほんと、どんな生活してんのかね。この間、チョコ同盟の配信に紛れ込んでたけど、配信以外でも実態で生活してそうなんだよね
565名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>545 過去レスで目撃情報が多々あるし普通に生活してるみたいだ。配信中に女神って言葉が度々出てくるから女神なんじゃないかって考察してるレスがあったな
580名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>565 女神だって言われた方がしっくりくるわ。ステータスが狂い過ぎてる。たまたま出た魔法もふざけた強さだし。もしかして女神じゃなくて魔王の生まれ変わりじゃねえの。レイのじゃが現れてからダンジョンの雰囲気変わったし。こんなに底辺ダンジョンで高ランクの魔物が出なかっただろ
600名前:名無しのダンジョン募集中さん
>>580最近は落ち着いたみたいだけどな、高ランクの件。かわいいし女神であって欲しいなー。てか凸とノ宙付き合ってんのかな? 流石に泊まりはびっくりしたわ
605名前:名無しのダンジョン募集
>>600 気にするな。ノ宙の感覚は俺達でも分からん。ある意味コミュ障っぽい子だから
622名前:名無しのダンジョン募集中さん
お前ら凸さんについてもっと語れよ
625名前:名無しのダンジョン募集中さん
凸は楽しそうにダンジョンについて語って、たまに強敵を倒すくらいでちょうどいい。平和な配信では語ることがないのだよ
630名前:名無しのダンジョン募集中さん
今日の浴衣配信でもレイのじゃの胸ちらパンチラを的確に防いでたし、天然のモザイクみたいな人だということは分かってきた。あらゆる角度のチラを知り尽くした変態ですわよ
****
レイヤに踏みつけられた、アリに似た魔物は跡形もなく消えさった。
「ダンジョン内にいる感覚が消えたのじゃ」
足の裏をティッシュで拭きながらレイヤは言った。
「だ、大事件じゃないの? 魔物がダンジョンから出てくるなんて……」
ノ宙の顔が引きつっている。酔いが少し覚めたようだ。
当然の反応だ。新塾ダンジョンで協会長が魔王を倒したことによって、ダンジョンから魔物が這い出して来る危機はなくなったはずだ。
「ダンジョンから出てきたのは、このアント型だけだと思うのじゃ。さっきまで感じていた魔力はこいつだけじゃ。結界に小さな小さな穴ができてしまったのかもしれんの」
「このまま放っておいて大丈夫なのかな? もし街に被害が出たりしちゃったら」
「良いことではないのは確かじゃが、以前わしが管理をしていた時にもたまにあっての。ずっと手入れをしないと結界が劣化することがあるのじゃ。魔法で修復すればいいだけなので、とっても簡単なのじゃ」
「じゃあ心配することはないんだね」
ノ宙はホッと胸を撫でおろしている。
「今からダンジョンに修復しに行くか?」
「明日で大丈夫なのじゃ。そんなに簡単には拡がらん。それよりも今はラーメンじゃ! 早くいかんと店が閉まってしまのじゃ!」
レイヤのその言葉に少し安心できた。魔王が倒される前には、どのくらいの魔物がダンジョンから出てしまっていたかは分からない。当時もそんあ聞いたことがなかったが、俺が知らないだけで、このように小さい魔物は漏れ出てていたのかもしれないと思った。
「よーしレイヤちゃん、飲み直しちゃうか~」
「わしは飲まんと言っておるじゃないか」
****
翌日。
俺達はつ草ダンジョンの入口に再びやって来た。
「あ、頭が痛い……」
「飲みすぎだ」
ノ宙は頭を抱えて唸っている。昨日ラーメン店で生ビールを、帰って来てからさらに日本酒やワインをがぶ飲みしていた結果がこれだ。おかげさまで、寝起きのはだけた浴衣が大変なことになっており、俺は落ち着くまでしばらく風呂に行けなかった。恥ずかしい話だ。
「おや? 昨日お会いしましたね。また今日も探索ですか?」
昨日会った冒険ガイドのおじさんだった。
「いえ、この辺りで忘れ物をしてしまって」
さすがに結界に小さな穴があり魔物が漏れ出たなんてことは言えなかった。それこそ大騒ぎになってしまう。
「それは大変だ。周辺にはそれらしいのはなかったですが……。見つけたらお伝えしますね」
「ありがとうございます」
そう言うと、ガイドさんは団体観光客のもとへ戻って行った。
「どうやって修復するんだ?」
「能力がダンジョン内と同じになる場所があればどこでもいいのじゃ。この辺りがよさそうじゃな」
レイヤはそう言うと入口の前に立った。キョロキョロと辺りを見回した後、何やらブツブツと呟いている。どうやら呪文を唱えているようだ。
そして、入口を優しく撫でた。
「これで完了なのじゃ。思った通り、かなり小さい穴だったのじゃ。昨日のアント程度が精いっぱいじゃな。魔力の痕跡も探ったが、出たのも昨日の一匹だけだったみたいじゃの。もう魔物が出ることはないのじゃ。ひと安心じゃな」
本当に簡単に終わったな。穴の大きさに関しては少し心配をしていたが、そこはダンジョンのプロと言ったところだろう。
「レイヤちゃんすごーい」
「のじゃのじゃ」
レイヤはない胸を張っている。褒められてとても嬉しそうだ。
「魔法、思い出したのは攻撃だけじゃなかったんだな」
「たまたまじゃ。まさか結界の修復するはめになるとは思わなかったのじゃが。戦闘には役に立たない魔法じゃからな。はっはっはっ」
とぼけてるようで、やることはちゃんとやってくれるのじゃロリだ。ただ、やはり気になることがあった。
「他にも、同じように穴が開いたダンジョンはありそうなのか?」
ここのダンジョンだけ穴が開いたとは考えにくい。全国には約700か所のダンジョンがあるのだから。
「程度は同じようなものじゃが、可能性は高いじゃろな。調べた感じ、魔力の劣化というよりも、意図的に開けられたと考えた方が自然なのじゃ」
ということは、いよいよあの仮説が真実味を帯びてくる。
「魔王は死んでいないということか」
「じゃろうな。今回のことで確信に変わったのじゃ」
やはりか。
「行ってみるか、元魔王城に」
「それが良さそうなのじゃ。手がかりはあると思うのじゃ。ただその前に、周辺の廃墟ダンジョンに立ち寄ってもよいかの? 少し調べたいことがあるのじゃ」
「別にいいけど。何かるのか?」
「わしの魔法が封印されている可能性があるのじゃ。ちょっと思い出したのじゃ。封印された際にわしの能力が分散されたのじゃ。今ならその場所を見つけられそうなのじゃ」
魔法が使えなくなってたのはそういうことだったのか。
「だったら私も連れて行って。ここまで聞いちゃったら傍観者にはなれないよ」
ノ宙は、頭痛に耐えなえながらも頼もしく言った。いまいち格好がつかないが、安定した能力の戦士が増えるのは大歓迎だ。
「凸も、ノ宙も、ありがとうなのじゃ」
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