恋するダイエッター香南
夢月みつき
「丸山香南」
1. 丸山香南-まるやま・かな-
主人公、高校一年生のふっくら系女子、秋山くんが好き。
2. 秋山詩音(あきやま・しおん)
高校一年の癒し系男子、香南の憧れのひと。
3. 赤塚麗奈(あかつか・れいな)
香南のクラスメイトで、親友、気が強いが友達想い。
4. クラスの男子二人組
香南をいじめてくる二人組。
🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛
私は
秋は、美味しい物がたくさんで、秋の味覚をあれもこれも食べたい。
でも、今は体重を落として痩せなきゃって思ってる。
だって、隣のクラスの
「丸山さん、いつも、ふわふわで可愛いよね。でも、健康の為に痩せたらもっと、可愛くなるよ」って。
よーし、私。きっと、綺麗になって秋山くんと並んで歩くんだから!
次の日から私は、サラダとサラダチキンのみのダイエットを始めた。
憧れの、秋山くんに振り向いて貰う為に頑張るぞ~。
私はお昼時間に、サラダとサラダチキンを机の上に並べて、もそもそと食べ始めた。
すると、それを狙っていたかのようにクラスの男子が、二人寄ってきて口々にいじる。
「何だよ、丸いブタ子!今日は、いつものガッツリ系弁当じゃねえのか~。」
「もしかして、痩せようとしてたりして、ぎゃははっ!痩せられるわきゃねーだろぉ。そんなブタブタ太った体型でよ!」
二人は、私を煽って
私は悔しくてたまらなくなり、うつむいて涙を目に潤ませる。
それを見ていた、友達の
「コラ―ッ!莫迦男子ども。香南をいじめるなー!!」
「「ひえっ?!野獣女が来た――!!」」
男子二人は、麗奈を恐れて一目散に逃げて行った。
「大丈夫?香南」
麗奈が心配して聞いてくれている。
「ありがとう、麗奈。」
私は、はにかみながらお礼を言った。
「一緒に食べよ?」
麗奈は机を持って来て、焼きそばパンとツナパン。コーヒー牛乳を置く。
彼女は、私と違って細身で演劇部に所属している可愛い子。
ふと、麗奈が私のお弁当を見る。
「今日は、お茶とサラダとサラダチキンだけ?お腹空かない」
麗奈は、焼きそばパンをかじりながら聞く。
「うん、いいの。これから毎日、このメニューだから」
「えっ、毎日」
「私ね、痩せる決心をしたんだ。憧れの秋山くんの為に」
私は頬を染めて、恥ずかしそうにすると麗奈は、にこりと笑い。私を見つめて来た。
「そっかあ~、香南にも春が来たんだね。私、応援しちゃうからね。でも、無理はしちゃダメだよ」
「ありがと、麗奈」
私と麗奈は顔を見合わせて微笑みあう。
その話に、聞き耳を立てていたクラスメートがいた事を私達は、気が付かなかった。
お昼が終わり、私がお手洗いに行こうと廊下を歩いていると、隣のクラスの秋山くんに逢った。
「あっ、丸山さん。元気?」
と微笑みを浮かべて気さくに話してくれる、彼に私が応えようとした、その時。
あの男子二人組が、ニヤニヤ笑いながら口汚く、罵って来た。
「なんだよ~!丸いブタ子、男と居るのかよ、似合わねえ。」
「なんだ、誰かと思ったら。秋山じゃん!やめとけ、やめとけ。こんなブタ!」
「お前達、やめろよ!丸山さんが可哀想だろ。」
秋山くんが、私の為にあの二人に怒ってくれてる。ありがとう、秋山くん。
私は感動して、涙で目の前がぼやける。
「るっせえな、そんな奴庇うんじゃねえ!」
男子の一人が何と、秋山くんを突き飛ばした。
尻もちをつく、秋山くん、私は彼を庇って男子達を睨んだ。
騒ぎを聴き、誰かが教員を呼んだらしく。正義感が強いと評判の男性教師が慌てて飛んで来た。
「コラッ、お前達。何をやってる!後で、職員室に来なさい」
先生が二人組を叱ると、二人は先生にペコペコと頭を下げている。
私は、秋山くんに肩を貸して保健室に連れて行った。
◇+□+◇
ここは、保健室。保険の香山先生が秋山くんを診ている。
「打撲はしていないように見えるけど…念のために大事を取って、早退しなさい。親御さんにその旨を、連絡帳に書いておくから」
香山先生は、秋山くんにそう伝えた。
「ごめんなさい、秋山くん。私のせいで…」
私が謝ると、秋山くんは微笑みながら言った。
「丸山さんは少しも悪くないよ。悪いのは、あいつらの方なんだから」
「ありがとう、秋山くん…」
優しい、秋山くんに感謝で胸がいっぱいになったが、同時に罪悪感で胸が押しつぶされそうになった。
秋山くんに痛い思いさせちゃった…
◇+◇+◇
その次の日、私は体調を崩して学校を休んだ。
食欲もなくなり、二週間も登校することが出来なかった。
お父さんもお母さんも心配してくれたけど、決して、無理をして学校に行かそうとはしないでくれて…とても、有難かった。
ある日、私は部屋の姿見を何となく見てみた。
そこには、いつもの私ではなく。別人のような姿の私が映し出されていた。
その日、秋山くんと麗奈が私の家を訪れる。
私は、顔を合わせづらくてベッドに潜り込んでいた。
「香南、麗奈ちゃんと秋山さんがいらしたわよ。」
お母さんが私に呼びかけている、私はタオルケットの隙間から、その様子を覗くと麗奈と秋山くんが心配そうに覗き込んでいた。
「大丈夫?香南。心配したんだよ」
「丸山さん、もし、僕のせいだったらごめんね。」
二人とも心の底から、私の事を心配してくれている。
私は、目頭が熱くなった。
私がタオルケットを取って、起き上がる。
すると、二人はとても、驚いた表情をした。
「香南、それ…そんなになる程。ショックを受けてたのね」
「丸山さん…」
麗奈と秋山くんが、私の為に泣いてくれている。
「ありがとう、麗奈、秋山くん。」
何と、私の姿はほっそりと痩せてしまっていたのだった。
◇+◇+◇
二人が勇気づけてくれたおかげで、元気を取り戻した私は、ひさしぶりに学校に登校した。
校門から学校に入ると、皆がざわついた。
「あれ、誰だ?綺麗だな」
「あんな美少女、うちの学校にいたっけ」
口々に噂する。
そして、私はあの二人組と対峙する。
男子二人組は、ぼうっと頬を染めて、私を眺めている。
「鞄持ちますよ、お嬢さん」
二人組は、紳士ぶって私に近寄って来た。
私は、にっこりと笑い、ここぞとばかりに冷たく言い放った。
「私、貴方たちのような意地悪い人達。興味ないの。」
二人組は、強いショックを受けて、半べそをかいてその場にへたり込んだ。
「分からない…?私、丸山香南よ。あんた達が、丸いブタって呼んでた」
それを聴いて二人組は愕然とする。
「おっ、お前!なんでそんな」
そんな二人組の声を無視する。
麗奈と秋山くんが後ろから、追いついて来た。
「さっ、教室に行こう。香南」
「丸山さん、昼休み三人で、弁当食べない?」
「いいわね、麗奈、秋山くん。行こうか」
私は、しなやかに身をひるがえすと、親友達と一緒に微笑みながら校内に入った。
私と秋山くんがどうなったかは、秘密ね。
-了-
丸山香南・イメージイラストAI作成
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330664518431675
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最後までお読み頂いてありがとうございます。
恋するダイエッター香南 夢月みつき @ca8000k
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