恋するダイエッター香南

夢月みつき

「丸山香南」

1. 丸山香南-まるやま・かな-

主人公、高校一年生のふっくら系女子、秋山くんが好き。



2. 秋山詩音(あきやま・しおん)

高校一年の癒し系男子、香南の憧れのひと。


3. 赤塚麗奈(あかつか・れいな)

香南のクラスメイトで、親友、気が強いが友達想い。


4. クラスの男子二人組

 香南をいじめてくる二人組。

🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛


私は丸山香南まるやまかな、高一、十六歳。恋に夢見る、お年頃の黒髪のボブでつぶらな瞳のふっくら系女子なの。



秋は、美味しい物がたくさんで、秋の味覚をあれもこれも食べたい。

でも、今は体重を落として痩せなきゃって思ってる。


だって、隣のクラスの秋山詩音あきやましおんくんが、言ってくれたんだもん。

「丸山さん、いつも、ふわふわで可愛いよね。でも、健康の為に痩せたらもっと、可愛くなるよ」って。


よーし、私。きっと、綺麗になって秋山くんと並んで歩くんだから!

次の日から私は、サラダとサラダチキンのみのダイエットを始めた。

憧れの、秋山くんに振り向いて貰う為に頑張るぞ~。


私はお昼時間に、サラダとサラダチキンを机の上に並べて、もそもそと食べ始めた。

すると、それを狙っていたかのようにクラスの男子が、二人寄ってきて口々にいじる。


「何だよ、丸いブタ子!今日は、いつものガッツリ系弁当じゃねえのか~。」

「もしかして、痩せようとしてたりして、ぎゃははっ!痩せられるわきゃねーだろぉ。そんなブタブタ太った体型でよ!」


二人は、私を煽って莫迦ばかにして来た。

私は悔しくてたまらなくなり、うつむいて涙を目に潤ませる。


それを見ていた、友達の赤塚麗奈あかつかれいなこぶしを振り上げて、怒声を発しながら私の席に走って来た。

「コラ―ッ!莫迦男子ども。香南をいじめるなー!!」

「「ひえっ?!野獣女が来た――!!」」


男子二人は、麗奈を恐れて一目散に逃げて行った。

「大丈夫?香南」

麗奈が心配して聞いてくれている。

「ありがとう、麗奈。」


私は、はにかみながらお礼を言った。

「一緒に食べよ?」

麗奈は机を持って来て、焼きそばパンとツナパン。コーヒー牛乳を置く。

彼女は、私と違って細身で演劇部に所属している可愛い子。

ふと、麗奈が私のお弁当を見る。


「今日は、お茶とサラダとサラダチキンだけ?お腹空かない」

麗奈は、焼きそばパンをかじりながら聞く。

「うん、いいの。これから毎日、このメニューだから」

「えっ、毎日」

「私ね、痩せる決心をしたんだ。憧れの秋山くんの為に」


私は頬を染めて、恥ずかしそうにすると麗奈は、にこりと笑い。私を見つめて来た。

「そっかあ~、香南にも春が来たんだね。私、応援しちゃうからね。でも、無理はしちゃダメだよ」

「ありがと、麗奈」

私と麗奈は顔を見合わせて微笑みあう。



その話に、聞き耳を立てていたクラスメートがいた事を私達は、気が付かなかった。

お昼が終わり、私がお手洗いに行こうと廊下を歩いていると、隣のクラスの秋山くんに逢った。


「あっ、丸山さん。元気?」

と微笑みを浮かべて気さくに話してくれる、彼に私が応えようとした、その時。

あの男子二人組が、ニヤニヤ笑いながら口汚く、罵って来た。


「なんだよ~!丸いブタ子、男と居るのかよ、似合わねえ。」

「なんだ、誰かと思ったら。秋山じゃん!やめとけ、やめとけ。こんなブタ!」

「お前達、やめろよ!丸山さんが可哀想だろ。」


秋山くんが、私の為にあの二人に怒ってくれてる。ありがとう、秋山くん。

私は感動して、涙で目の前がぼやける。

「るっせえな、そんな奴庇うんじゃねえ!」


男子の一人が何と、秋山くんを突き飛ばした。

尻もちをつく、秋山くん、私は彼を庇って男子達を睨んだ。


騒ぎを聴き、誰かが教員を呼んだらしく。正義感が強いと評判の男性教師が慌てて飛んで来た。

「コラッ、お前達。何をやってる!後で、職員室に来なさい」

先生が二人組を叱ると、二人は先生にペコペコと頭を下げている。

私は、秋山くんに肩を貸して保健室に連れて行った。



◇+□+◇


ここは、保健室。保険の香山先生が秋山くんを診ている。

「打撲はしていないように見えるけど…念のために大事を取って、早退しなさい。親御さんにその旨を、連絡帳に書いておくから」


香山先生は、秋山くんにそう伝えた。

「ごめんなさい、秋山くん。私のせいで…」

私が謝ると、秋山くんは微笑みながら言った。


「丸山さんは少しも悪くないよ。悪いのは、あいつらの方なんだから」

「ありがとう、秋山くん…」

優しい、秋山くんに感謝で胸がいっぱいになったが、同時に罪悪感で胸が押しつぶされそうになった。

秋山くんに痛い思いさせちゃった…




◇+◇+◇


その次の日、私は体調を崩して学校を休んだ。

食欲もなくなり、二週間も登校することが出来なかった。

お父さんもお母さんも心配してくれたけど、決して、無理をして学校に行かそうとはしないでくれて…とても、有難かった。


ある日、私は部屋の姿見を何となく見てみた。

そこには、いつもの私ではなく。別人のような姿の私が映し出されていた。


その日、秋山くんと麗奈が私の家を訪れる。

私は、顔を合わせづらくてベッドに潜り込んでいた。


「香南、麗奈ちゃんと秋山さんがいらしたわよ。」

お母さんが私に呼びかけている、私はタオルケットの隙間から、その様子を覗くと麗奈と秋山くんが心配そうに覗き込んでいた。


「大丈夫?香南。心配したんだよ」

「丸山さん、もし、僕のせいだったらごめんね。」


二人とも心の底から、私の事を心配してくれている。

私は、目頭が熱くなった。

私がタオルケットを取って、起き上がる。

すると、二人はとても、驚いた表情をした。

「香南、それ…そんなになる程。ショックを受けてたのね」

「丸山さん…」

麗奈と秋山くんが、私の為に泣いてくれている。


「ありがとう、麗奈、秋山くん。」

何と、私の姿はほっそりと痩せてしまっていたのだった。




◇+◇+◇


二人が勇気づけてくれたおかげで、元気を取り戻した私は、ひさしぶりに学校に登校した。

校門から学校に入ると、皆がざわついた。


「あれ、誰だ?綺麗だな」

「あんな美少女、うちの学校にいたっけ」


口々に噂する。

そして、私はあの二人組と対峙する。

男子二人組は、ぼうっと頬を染めて、私を眺めている。


「鞄持ちますよ、お嬢さん」

二人組は、紳士ぶって私に近寄って来た。


私は、にっこりと笑い、ここぞとばかりに冷たく言い放った。

「私、貴方たちのような意地悪い人達。興味ないの。」

二人組は、強いショックを受けて、半べそをかいてその場にへたり込んだ。


「分からない…?私、丸山香南よ。あんた達が、丸いブタって呼んでた」

それを聴いて二人組は愕然とする。



「おっ、お前!なんでそんな」

そんな二人組の声を無視する。

麗奈と秋山くんが後ろから、追いついて来た。


「さっ、教室に行こう。香南」

「丸山さん、昼休み三人で、弁当食べない?」

「いいわね、麗奈、秋山くん。行こうか」


私は、しなやかに身をひるがえすと、親友達と一緒に微笑みながら校内に入った。

私と秋山くんがどうなったかは、秘密ね。



-了-


丸山香南・イメージイラストAI作成

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330664518431675

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最後までお読み頂いてありがとうございます。

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