第3話「“老婆”アンナとの出会い」

ストレを魅了したその家は新しくできたものではなく長年の時を経て、木々が家と一体化し、ツルや花をまとっていた。



老婆「こんな森の中に家があるなんて思わなかったろう? この家は私が作ったんだぞ。」


老婆「厳密に言えば私達だけどな…。」



老婆「まぁまぁ、そんなことは置いといて早速ご飯を食べるか。」



ストレ「……。(コクッ)」








ー噴水近くの広場


慌てた様子の騎士がラナのところへ駆け足で向かってくる。



騎士A「ラナ様ぁあ!」



騎士A「はぁ…はぁはぁ。」



ラナ「どうしたのよ。騒々しいわね」



騎士A「ストレ様が…ストレ様が見当たりません!」



ラナ「本当なの?」



騎士A「はい。ラナ様のお申し付け通り遠くからこっそり護衛を

していたのですが、人混みに飲まれてしまい見失ってしまいました。」



ラナ「そして。ストレが向かった方角は?」



騎士A「私がストレ様を見失ったところはこの広場の東側、

珍獣の森がある方角です。」



ラナ「珍獣の森…。」



騎士A「もしかしたら森の中に入ってしまわれたのかもしれません。しかし、今からでも遅くは無いと思います!」



ラナ「いいえ、大丈夫よ。今日はもう探さなくていいわ。」



騎士A「え…しかし…。

……わかりました、また何かありましたらお申し付けください。力になります。」




ー珍獣の森


この日から僕はアンナとの出会いを日記に記した。



12/×

アンナとの暮らしは楽しかったが家で暮らしているよりも、大変だしやることもたくさんだった。朝起床し、水を汲みに行く。

汲み終わったらアンナおばあちゃんがご飯を振る舞ってくれて、昼は夜ご飯と明日の朝の2日分のご飯を蓄える。それが終わったら、漬物を作ったり、お風呂の準備をしたり、休む暇などない。これを毎日一人でやっていたと思うとアンナおばあちゃんは体力が僕以上にある。いや、僕とは比べ物にならないくらいだ。う~ん。負けてられないな。もっと頑張らなくちゃ。



12/×

俺はそれと追加で勉強したり、体力づくりをおこなった。雨の日も風の日も。

それは如実に現れ始め調子に乗った僕はそれ以上に頑張ろうとしたが無理があったらしく高熱を出してしまった。



12/×

僕が高熱でうなだれているときもアンナおばあちゃんは休むということを知らないように僕のことを一生懸命看病してくれた。

僕が安心して眠れるように子守唄も歌ってくれた。僕は、赤ちゃんじゃないのに。でも、アンナの子守唄は不思議なほどに安心するものだった。そして、僕はいつの間にか寝ていたらしく気がつくとアンナが朝ごはんを作ってくれていた。風邪を引いたのでしばらくはおかゆを食べることになった。僕は味がしなくてあんまり好きではないが好き嫌いをしていたらご飯がなくなってしまうから我慢して食べた。



20××年 4/×

それからというもの俺はみるみる成長し気がつけばアンナおばあちゃんの身長を超えていた。俺はこのままおばあちゃんと一緒に暮らしていけたらいいなと心から思った。そんなときだった彼らが来たのは。



トントントン


アンナ「来客かしら?珍しいわね。」



ストレ「アンナおばあちゃんはここにいて、俺が出てくるから。」



ギッ−−。

ストレ「、、こんにちは。どういった要件です…。」



騎士A「ストレ様!ストレ様ですよね?

探しました。まさかストレ様が家出をするとは誰も予想しなかったものですから。」



騎士B「さぁ、館に戻りましょう。」



アンナ「ストレ?その方たちはお知り合い?」



ストレ「あぁ、アンナおばあちゃんしばらく帰ってこないかもしれない。」



アンナ「あら。もうおわかれの時期なのね。」



ストレ「大丈夫!絶対もう一度あいにくるから。」



アンナ「ふふ。いってらしゃいストレ。」



騎士A「では、ストレ様馬車にお乗りください。」



ストレ「ああ。」



それから月日が経ちアンナの家に行ってもいいと外出許可が出たので足早に向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

敷かれたレールが嫌ならば路線変更すればいい!! @yuririn-monro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ