いずれ明らかになる真偽

「おい、星音!何してんの!?」


「なんで鈴がここにいるのさ!学校は」


「早退したに決まってるでしょ!お前がいないからもしかしてって思ったらやっぱり」


「ちっ…」


 これは夢だろう。姉さんと星音さんの声が、俺の耳に入っては抜けていく。


 今は学校の時間だ。2人とも学校にいるはずだし、こんな見覚えのないところに俺は来たことがない。


 きっと変な夢を見ているのだろう。


 姉さんがお前なんて汚い言葉、使うわけないもんね。


「とりあえず奏斗は返してもらうから、何も変なことしてないよね?」


 なんだろう、身体がやけに重いというか。なにか脱力感があるというか。


 まるで致した後かのような気分だ。今日はやってないはずなんだけどな。


「何その沈黙…もしかして」


 うわ、辞めて姉さん。なんで急にズボンを脱がせるんだ。


 流石に姉さんでも許容できない。俺は目を開けて、姉さんに飛びついた。


「きゃっ」


「奏斗くん…♡」


「姉さん何やってるの!」


 俺は慌ててズボンを元に戻す。危なかった…もう少しで貞操を失うところだった。


「あ、おはよう奏斗」


 ん、おはよう?

 俺は夢を見ていたわけで…ここは夢の中のはずで…。


 いやでも、ここは見覚えがあるな。そういえば星音さんに連れられて星音さんの家に来たんだっけ。


「姉さん、はなんでここにいるの?」


「奏斗を助けに来たの。こんなヤバいところなんて早く抜けて私たちの愛の巣に戻ろ?」


 愛の巣とは自宅のことだろうか。

 やばいところって…と言われたところで俺は思い出した。


 俺は星音さんに閉じ込められたんだ、と。部屋案内に乗じて寝室に閉じ込められたんだ。


 身体がだるい理由ってもしかして…


「どうしたの奏斗?」


「いや、なんか身体がだるくて」


「ダルい?」


 そこで姉さんは何かを察したかのような表情になって、瞳から光が消え失せた。何も反射していない。


「ふっ、あはははははははは」


 突然、姉さんの様子を見た星音さんが大きな笑い声を上げる。見たこともない、聞いたこともない星音さんの笑い方な俺は後ずさってしまう。


「ここまで来たら開き直るのがいいよね。はぁ〜、とても充実した行為だったよ、奏斗くん♡」


 行為、と聞いて何だそれは、となるほど俺は鈍感を噛ましてはいない。


 察した、俺は星音さんに童貞を奪われたんだと。


「赤ちゃん出来たらごめんね!奏斗くん。…でもわたし的に出来たら嬉しいんだけど」


「出来るわけないでしょ!」


 姉さんが怒声を上げる。さっきまでの比じゃない怒りの感情を表に出していた。


「んーん、、しっかり中に出ちゃったよ。ちょっと量が多くてびっくりしちゃったけど。しかも今日危険日だし」


 追い打ちをかけるように開き直った星音さんは姉さんに向かって言い放つ。


「は、嘘でしょ?」


「ううん、本当だよ♡ 」


そして俺の方を向き。


「よろしくね、お父さん♡」

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