姉だけが知る真実

 愛しの弟と別れて私はうんざりしながらも学校へと向かう。


 本当につまらない。昨日の件があるから仕方ないとは言え、奏斗と一緒に登校できないなんて…。


 これも全部アイツらのせい。数ヶ月前から警戒はしていたけど、流石に放置しすぎた。


 もっと前から忠告しておけばあんな事態は防げたのに。


 でも大丈夫、これ以来、未来永劫奏斗にあいつらは近づけさせない。

 今日でアイツらとの上っ面の親友もやめだ。


 学校のカーストは崩壊するだろうなぁ。私たちを中心としたクラスのグループは瞬く間な崩壊するのが目に見える。


 舞も星音も無駄に顔がいいのがムカつく。正直、顔面偏差値だけで言えば私に並ぶ、いやそれ以上かもしれない。


 でも、もう意味は無い。2人が好きな奏斗とはもう二度と近づけさせないし、私のものになるから。


 奏斗には昔から甘えさせてあげていた。困っていたら直ぐに手を差し伸べたし、私から積極的に物理的に触れ合っていた。


 姉弟だから意識しない、なんて言う人もいるかもしれない。


 …でも私にはその心配をする必要が1ミリも存在しない。


 そう、だって奏斗は私のだから。





 学校には少し早めに着いてしまった。普段は奏斗と話しながら来ているから、ちょうどいい時間に着くのだが…。


 私は自分の席に腰を下ろし、周りを見渡す。


 見たところ、ゴミしかいない。


 何故か普段から私に馴れ馴れしく話しかけてくる男子ゴミ、毎日告白してくるゴミ


 身の程を弁えてない奴らには毎日ウンザリさせられる。

 私と親しくなるには、奏斗のいい所を下心無く10000個以上止まらずに話せるくらい必要だよ。


 いや、それだと警戒して殺しちゃうかも。

 あはっ♡


 女子も例外じゃない。

 私が唯一信頼しているの女性は母親だけだ。


 お義母さんだけは奏斗を好きになる可能性がない。だって、奏斗の実の母親だから。


 そんなことを思っていると、先程言っていた男子ゴミが何も知らない馬鹿な顔をして話しかけてきた。


「よう鈴、今日は早いな」


「うん」


「どうした?素っ気ないぜー。そうだ、今度俺と2人でカラオケにでも行かね?俺めっちゃ歌上手いから。シンガソング!」


 こいつは何を言っているのだろう。私が奏斗以外の異性とどこかに行くわけがないじゃん。


 下心しかないド変態ゴリラが。万年発情期っていうあだ名を拡めてやろうかな。


 そしたらこいつの青春ライフはゼロになるね。それも面白いかも。


「ごめん、私あまり暇じゃないから」


「…まじかー、じゃあ暇な日があるなら教えてくれなっ」


 チッス、と言って名前も知らないゴミが私の席から離れていく。


 一瞬、イラつきからぶん殴りそうになったが理性が抑えてくれた。


「あ、鈴ちゃんいるじゃん!」


 話しかけてきたのは毎日告白してくる勘違いゴミだ。


「なに?」


「俺と付き合ってよそろそろ。ツンデレは今どきモテないぞー」


 がちゃん!


 次の瞬間、私は机を思いっきり蹴って立ち上がってしまい大きな音を立ててしまった。


「ど、どうしたんだ鈴ちゃん?」


「ごめん、虫がいただけ」


「なに?!鈴ちゃんの周りに虫だってぇ〜。俺が成敗してくれる」


 吐き気がする、何故か奏斗以外の男から下の名前で呼ばれなければならないのだろう。


 出来ることならば、今すぐにでも退学にしてやりたい。でも、私の家は別にお金持ちなんかじゃない。


「どこか行っちゃったみたいだ。ごめんな鈴ちゃん」


「で、なんの用?」


「もう分かってるくせに〜。付き合おうよー。俺リード上手いからさ。きっと鈴ちゃんを幸せに出来ると思うんだよね」


 ド変態ナルシストがいる。今すぐにでも殺したい気分だ。


 男はみんな、私の身体目当てで接近してくる。


 確かに私は自負するほど、いいスタイルをしていると思う。だけど、だからといって男にジロジロと見られたいわけじゃない。


 分かるよね、私の気持ち?








 男はみんな消えてしまえばいい。









 奏斗が入れば、それだけでいい。

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