とある彼女のろくコマ
ジャンル:ラブコメ
キャッチコピー:777文字目指すってまじに難しいんだけど!
紹介文:
大学生のフユは、春一番が吹いたある日、恋人のハルの家でアンラッキー7について聞かれ―― まったり恋人同士のとある日常の一コマ。
お題:「アンラッキー7」
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例年よりも随分と早い春一番が日本列島を襲ったある日のこと、大学生のフユは、同棲中の恋人のハルに、ローテーブルを挟んでにじり寄られていた。
「アンラッキー7ってさ、どう思う?」
「ん? ラッキー7じゃなくて?」
「そうそう、アンラッキーなの。なんかどっかの国じゃあ7っていう単語が失うって意味になるからアンラッキー7になるんだって」
日夜異世界に行くために世界の文化を探求しているハルは、わりと博識だ。愛読者は世界の歩き方である。あとドクトルさんの旅行日記。ついでに愛犬の飼い方。いろいろとためになるらしいが、いつどこで活躍するのかは謎だ。もちろん、ハル的には異世界に行ってからということだと思う。
普通に海外旅行とか、犬を飼う時に使う知識だよね、とフユは思っているがもちろん口に出すことはない。そしてハルは猫派なので、犬を飼うことはないとも知っている。もちろん猫も飼っていない。何に備えているというと異世界に行って魔獣とかをテイムした後の知識だそうだ。愛犬の飼い方で合っているのかどうかは神のみぞ知る。
ところで、今日の彼女のテーマは『アンラッキー7』らしい。
もちろん目の前のローテーブルには酒瓶がどどんとのっていて、いい感じにほろ酔いではある。明日は授業はないので、ゆっくりと部屋に引きこもれるため、彼女は最初から好きに飲んでいる。
酔っている時のハルの思考はわりとあちこちに飛ぶ。いつも飛んでいるけれど、倍速で飛ぶ。
なぜ日本酒のラベルを見て『アンラッキー7』を思いつくのかは、フユにはさっぱりわからない。そして、この話の着地点もさっぱりだ。
ただ、ほろ酔いのハルはとてつもなく可愛い。部屋着はお気に入りのふわもこパジャマで、うっすらピンク色に染まった頬ととろんと潤んだ瞳で迫ってくる。正直、話の内容なんてどうでもいいくらいに可愛い。
「ラッキーも文化の違いによれば、アンラッキーになるってこと。つまり逆もあってね」
「うん」
「だから、価値観って文化によってあっさり覆るわけで、異性の恋愛も同性の恋愛もね――」
あ、これはちゃんと話を聞かないととんでもない目にあうやつだ。
確かにラッキー7はアンラッキー7でもあるのだなとフユは乾いた笑いをあげるのだった。
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