インタビューの結末
ジャンル:現代ドラマ?
キャッチコピー:「あなたのゴールは?」
紹介文:
『あなたにとってのゴールとはなんですか?』 とある雑誌記者がインタビューをしていく話。 ジャンルをホラーにしようか現代ドラマにしようか悩みました。
作者:ということを悩んでいたようです。ジャンル選びは難しい……。
お題:「ゴール」
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―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「ゴールですか…突然聞かれると…そりゃあ、ううん、どうなんですかねぇ。はじめの頃は相手に復讐できればよかったんですけど。結局は何もできなくて見てるだけで……こうなってから長いので、いまじゃあ上に行くことですかねぇ」
(50代・女性)
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「僕、サッカーしてたの。だからゴールは点が入って勝利ってことかなあ。でもこの体じゃあもうサッカーはできないもんね…」
(10代・男性)
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「現状よりも外にあって、目的の到達地点。目標を設定して目指すべきもの。こうあるべき未来の姿だな。そうやってコツコツ頑張ってきて…そうか…俺は頑張ってきたのになあ…あるべき未来の姿がわからないなんてな」
(40代・男性)
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「自殺って前は答えてたのにな。なんだろう、まさかこんなことになるなんて思わなかったよ。今じゃあ終わりがゴールだな。果てしなく遠くて、今じゃあゴールなんて見えないけれど」
(30代・男性)
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「げひゃあひっつうあうっつ」
―――すみません、わかりませんでした。もう一度おっしゃっていただけます?
「ばっひゃっとうっとうあっ」
(年齢不詳、性別不明)
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「家よ、家。家にさえつけば平気だったのに。あんなに走ったのに。どうして私がこんな目にあわなくちゃいけないの。家に帰れば絶対に無事だったのに。家に帰りたいの!」
(20代・女性)
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「そっか、ミサはこんなことしてたんだな。雑誌のコラムっていうからもっとなんかおどろおどろしいの書いてんのかと思ってたよ。なんでわりと真面目にインタビューしてんの。ははっ、ウケる。真面目なくせにホラーなオカルト雑誌に配置換えされたって言ってたから心配してたけど、お前はどこまでいってもちゃんとしてんな」
―――あなたにとってのゴールとはなんですか?
「なに、それ以外聞かないの」
―――仕事だから。あなたにとってのゴールとはなんですか?
「ゴール? 俺さ、もう少しミサの仕事に理解を示せばよかったなって。こうなってから誰かに話を聞いてもらえるのって結構嬉しいもんなんだな。つうか、お前、見えるなら見えるって言えよ」
―――言っても信じないでしょう。ホラーもオカルトも非科学的だって馬鹿にしてたじゃない。あなたにとってのゴールとはなんですか?
「ぶはっ、やっぱり真面目だな。最後に絶対質問がつくんだから。はいはい、ゴールね、ゴールか。てっきり見えないと思ってなんとか伝えられる方法を探してたんだけど、まさか本人に直接話を聞いてもらえるとは思わなかったな。俺の今までの苦労はなんだったんだ」
―――それはお疲れ様。てっきり怒ってて様子も見に来ないと思ってたわ。あなたにとってのゴールとはなんですか?
「え、あの朝にケンカしちゃったから? だからってこうなってまで会わないわけないだろ。じゃなくて、伝えたいことがあったんだって。お前の下着入れの右端の奥にさ、ちょっとしたプレゼントがあるから。まあ、もういらないものになっちゃったんだけど。残してるのも気持ち悪いから捨てといてくれ」
―――気持ち悪いって…人の下着入れにこっそり何を入れてるの。
「いや、お前あの下着入れって手前しか使わないだろ。奥にあるの何年前のだよ、ヨレヨレのくたくたで…」
―――勝手に見たくせに、人の下着にケチつけるのやめて!
「はいはい、悪かったよ。まあそこならバレないと思ったんだよ。隠すにはもってこいだろ。やっぱりお前気づかないし。何年も経ってようやく下着を処分したくなったときにひょっこり出てきたら、ミサすごい怒りそうだったし」
―――今も十分怒ってますけど?!
「うん、ごめん。でも傷は浅いから。絶対数年先の方がもっと怒ってた。早めに伝えられてよかったよ。ああ、安心した」
―――ちょっと、勝手に納得しないで…消えないで…あなたにとってのゴールとはなんですか…っ?
「泣きながらインタビューとかプロ根性がすごいわ…はいはい、俺のゴールね。お前だよ、ミサだ。これで満足か? じゃあな」
(20代・男性)
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