第3話 ポイズン・ピル

「この人はどうでしょう?」


『ポイズン・ピル』を紹介する。


彼は長くて糸のような黒髪。その髪は夜の闇を連想させ、彼の出現をより不気味に感じさせた。

ポイズン・ピルの服装もまた、彼の邪悪な本性を象徴していた。

黒いローブが彼を覆い、まるで闇そのものが彼を包み込んでいるかのようだ。


「彼は、買収者が無理やりあなたを奪おうとしたときに、これまであなたを支えてきてくれた株主みんなであなたを守れるように、株主たちに力(新株予約権)を与えます」


おれは誠意をもって説明するが、彼女の震えは収まらない。


「わ、私、リンゴの毒で眠らされて死ぬ間際の運命をたどったことがあるので、ポイズンは苦手です……」


初めて口を開くスリーピング・ビューティー。

だが、その言葉は、恐怖におびえた明確な拒絶の言葉だった。

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