第2話 パックマン・ディフェンス

「おれはキラー・ビー」


スリーピング・ビューティーにあいさつをする。


敵対的買収を仕掛けられた、哀れでか弱い企業を守るのがおれの使命。

つまり、買収対策を援護するアドバイザーだ。


もちろん、おれ一人の力では企業ひとつを守り切ることはできない。

様々な協力者が必要だ。


「あなたを買収から守る強力な味方を紹介したい」


スリーピング・ビューティーは、不安げな表情から少し、ほっとした表情を見せる。

期待したのだろう。


「じゃあ、最初の協力者だ」


扉が開き、一人の男が入ってくる。


「『パックマン・ディフェンス』です。私は、買収を仕掛けてきた相手をパクっと買収し帰してしまうことで、すべてを飲み込みあなたを助けます」


彼は挨拶するが、スリーピング・ビューティーはあまり良い顔をしない。

それもそうか……


パックマンは、黄色く丸いぬいぐるみを被っていたからだ。

しかも、その口は何でも食べてしまいそうに大きい。

お世辞にもかっこいいとはいえないその風貌は、やはりビジネスパートナーとして致命的なミスを犯している。


無言のまま困っているスリーピング・ビューティーを見て、おれは決心する。


「他にも協力者はいます。次に行きましょう」


彼女は、小さくこくんと頷いた。

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