世界

世界を二つに分けるとき

わたしと

わたし以外

というやり方があると聞いた


わたしは

わたしというからだが及ぶ範囲でもあるし

わたしというこころの及ぶ範囲でもあるし

だから

わたしがむしろ世界だ

ともいえるかもしれない


わたし以外は

わたしのからだがなく

わたしのこころもない

しかし

ざんねんながら

わたし以外も世界でしかない


わたしは

からだにかぎりがあり

こころはかぎりなくかぎりないが


わたし以外は

からだにもこころにも

かぎりがあるか分かりようもないが

分からないものの大きさでもって

すでにわたしより大きい


そもそも

わたしは

わたしが手を上げる

と思うよりまえにわたしの手は上がっていて

しかしそれは

わたしが手を上げる

と思わずにわたしの手が上がることとは

ちがうことだと

わたしのこころは信じていて


とすれば

わたしですら

わたしのすべてには及んでいなくて


そんな世界に

わたしがいる

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