第9話 風邪っぴきクマによる「超おしゃれ?配信」

【鼻声配信】風邪ひくとゲームしたくならない?【絶賛発熱中】


「みんな~こんばんは! 元気だけど元気じゃないマレ熊 茶子です。今日はだら~んと楽しんでいきたいと思います」


シベチャチャ:風邪って大丈夫なのか

クッチャマ:結構声来てるな


「うん。この前のコラボ、あ、みんな見てくれた? その後さ、起きたら何かだるくて熱はかったら微熱出てた。で、熱上がっていって今38℃。最高スコア更新です!」


シベチャチャ:いや休め

クッチャマ:コラボは最高だったよ! だから今は休め!

コメント:コラボ、スパチャのとこめっちゃ笑った

コメント:スパチャにビビってるとこ切り抜かれてたけど大丈夫?


「あれね~『マレ熊 茶子赤スパにビビるwww』ってショートでしょ。前切り抜き作ってくれた人と同じ人かな? や~改めて見直すと恥ずかしいよ」


コメント:その切り抜きからきました


「あ、こんばんは。今日はスパチャ芸はないですよ~それでもよかったらゆっくりしてってください。まぁ、熱出てあとちょっと鼻声にもなってるけど、特につらい症状とかはないんだ。なんかいつもよりフワフワしているだけ。てかさ、風邪の時て無性にゲームしたくならない?」


クッチャマ:それはまあわかる

シベチャチャ:多分学校休んだ時の気分思い出すからだろうな


「そうそう。学校休んでするゲーム最高だったよね! という訳で今日は童心を思い出して昔よく遊んでいたゲームの実況したいと思いまーす!」


シベチャチャ:学校休んでするゲームといえばDSだったわ。布団にもぐってできるから

クッチャマ:おれ普通にプレステしてた。親、ゲームに寛容だったし


「わたしも携帯ゲーム機やることが多かったな。画面近くて楽だし。という訳で今回のお品はこちら。女の子着せ替えゲームです! 男性はなじみないかもだけど、昔ハマってたんだよ~」


クッチャマ:まってオレもこれやってた

コメント:存在は知ってる

コメント:俺もやってた。めちゃくちゃな組み合わせして変な恰好させて遊んでた


「今日はわたしの良くも悪くもないファッションセンスをみんなに見せちゃうよ!」


シベチャチャ:マレ熊今日テンション高いな

クッチャマ:A.熱のせい


「まずゲーム内でのわたしのアバターを作るよ。できるだけ「マレ熊 茶子」に似せたいけど……」


クッチャマ:初期アバターはシンプルよな


「そうそう。髪型とかあんま選べないけど、少しでも近いやつを……うん、こんな感じかな? あとはゲーム進めれば、美容室行けるようになって、できる髪型広がるから。顔もメイク道具追加されて色々いじれるはず。そのときに完成版マレ熊 茶子を……」


コメント:化粧はしないで


「え、どうして?」


シベチャチャ:気にするな、世の中にはいろんな人がいるんだマレ熊

クッチャマ:そっとしてあげてくれ


「?? わからないけどわかった。さ~「自分」もできたし、ゲーム開始! 服屋さんを経営していくんだよね」


コメント:マレ熊は普段どんな服着るの?

コメント:「マレ熊 茶子」が着てるようなナチュラル可愛い系?


「普段て配信外てこと? いや~わたしはもっと地味な感じかな。よし、今から服を仕入れに行って普段のマレ熊のファッションをお見せいたしましょう。はい、到着。ここで色んなテイストの服が買えます! じゃあまずわたしが普段着る感じの服を調達するよ。ここで買った服は自分の店でも売れるからね。おじゃましま~す」


シベチャチャ:シンプルって感じの服屋だな


「えーと、これとこれとこれもいいな……はい、じゃ~ん! これが普段着のマレ熊だ!」


シベチャチャ:タートルネックにジーンズにパーカー、シンプルイズザベストな

クッチャマ:オレは今おまえにシンパシーを感じてるよ

コメント:正直言って地味じゃね?

コメント:なんか暗い色ばっかだな。でもタートルネックいいじゃん。おれ好きよ


「む~NO八割YES二割ってとこでしょうか。だからいったじゃん! センス良くも悪くもないって! こういう無難な服が着回しきいて一番楽なの!」


コメント:ゲームでくらい派手な服着よ?

コメント:ほかの店行かない? ゴスロリ系とか。ああいうのも見たい


「確かに現実ではなかなか着れない服を簡単に着れちゃうのもこういうゲームの醍醐味だよね。では……あった、ここがロリータ系のお店だね」

コメント:やっぱこういう服っしょ!

クッチャマ:テンション上がるわ~


「いや~可愛いね、フリルブラウス、パニエ付きスカート、ワンピースもたくさん! 可愛いワンピース着てお出かけとか……憧れるなぁ。ワンピースは女子の夢!」


シベチャチャ:男子の夢でもあるぞ


「それはひとつなぎのマンガでしょ! 色んなワンピースがあるけど、みんなはどれがいい? わたしはこれ!」


コメント:数ある中でも一番地味なの選んだな

コメント:茶色か。もっとピンクとか水色とかパステル系がいいな

コメント:なんか年季入ってるというかぶっちゃけ古臭くない?


「古臭いとは失礼な~クラシカルで素敵じゃない! こう昔からたくさんの人に大事に使われて受け継がれてきた、って感じがマレ熊心をくすぐります」


シベチャチャ:マレ熊、古着好き?


「ストリート系は好みじゃないけど、いわゆるアンティークは好きだよ。着回し難しいから少ししか持ってないけど。アンティークってさ、流行とか全然関係ないところがいいんだよね~。一点物ばかりで自分だけの一着を探し当てるのが宝物探しみたいでドキドキするんだよ」


シベチャチャ:それは楽しそうだな

コメント:家具とかもアンティークな感じ?


「……そうしたいけど家具はなかなかにお高いので」


コメント:赤スパしようか?(ニヤニヤ)


「いーえっ結構です! さ、ゲームに戻ろう。ロリータ服何買う? せっかくだからみんなの希望を聞こうかな」


コメント:右のエプロンワンピース! アリスっぽいやつ

コメント:ドロワーズ! ドロワーズをくれえええ

クッチャマ:ここは漆黒のゴスロリを。マンガキャラが着てるようなやつ


「えぇ……みんな意見が全然合わないじゃない……」


シベチャチャ:ゲーム的には安くて着回しきくのそろえた方がいいんじゃない? 

まだ所持金もそんなないし……


「冷静な意見ありがとう! 確かに他にしたいこともあるし、ここは値段と着回しを考えますか。それでは、まずこのブラウスとーう~ん、コメント欄にドロワーズに執着している人がいたね。安めだしドロワーズを合わせますか」


コメント:ドロワーズキターーーありがとう


「今、マレ熊は一人のオタクを救いました……アーメン」


シベチャチャ:なんかマレ熊口調変わったな、熱のせいか?

クッチャマ:はい先生! マレ熊ちゃんは前回のコラボでご一緒したVtuber達の影響を受けてると思われます!

コメント:おれもちょっと違うな~と思ってた。大神の影響?

コメント:ニャン田の影響もありそう。オタクいじりとか


「え、自覚なかった。でもそうかも、皆さん濃かったというか個性的というか……またコラボできたらいいなぁ」


コメント:コラボまた見たーい

コメント:今度はマレ熊からお誘いしろ


「自分からお誘いかぁ。ま、まぁできたらやります。さーゲーム進めよう。次は美容室行くよー」


コメント:できたらやるは行けたら行くと同じ

コメント:コラボの日は遠そうだな……


「えーと髪型はこれぐらいのボブカットにして前髪は厚めにし……」


コメント:アフロにして


「アフロもいいよね、ストリート系とかエスニック系の服がマッチする感じ。

でも今回はマレ熊 茶子再現が先! うん、髪色はこんな感じの栗色でオーダー完了」


シベチャチャ:お~大分近づいた


「よしいいねいね、今度はメイクショップに行きまーす。わ~めちゃくちゃ種類がある」


コメント:女の人ってこんな量の化粧品持ってるの?


「いやいや、少なくともマレ熊はこの三分の一、いや五分の一にも満たない量だよ。でも、コスメオタクの友達がいるけど、その子ならこのレベルで化粧品持っててもおかしくないかも。さ~こっから化粧でさらに可愛くなるぞ。まずはカラコン。薄目の茶色! これでマレ熊カラー完成。マスカラは茶系でそこまでまつ毛バシバシにしないで、チークはこのほんのりピンクを……」


コメント:マレ熊楽しそうだな

コメント:化粧ってめっちゃやることあるな。自分でやると大変そうだけど見てる分には楽しいわ


「リップはナチュラルな方にして。よし完成、これが着せ替えゲーム版マレ熊 茶子だ!」


コメント:おおおお

コメント:この顔でさっき買ったフリフリブラウスとドロワーズ着てくれ!

クッチャマ:お着がえ、お着がえ


「うん、着よう着よう。家に戻って、は~い、ロリータマレ熊完成で~す!

うわ、かわいーー! テンション上がってきたーー!」


シベチャチャ:声いつもより出てるな

クッチャマ:もしかして熱上がってない?

【エリザベアーチャンネル】:こんばんは。熱があるなら休んだ方がいいですよ。

コメント:マレ熊テンションたけーwって今ベアーちゃんいなかった!?

コメント:うわ、本物だ。おい、マレ熊気づけ。ベア様降臨!


「え、あ、えええエリザベアーさんのコメントだ! 配信見てくれてる!」


【エリザベアーチャンネル】:はい、見てますよ。配信に水を差すようで申し訳ないですが、体調悪いときは安静に。健康はライバーを続けるうえで重要なことですよ。


「うう、正論。でも、でも風邪の時に一人って寂しいんですよ。だからつい配信始めてしまったというか」


【エリザベアーチャンネル】:その気持ちはわかりますが

コメント:寂しいならベアーちゃんと喋ればいいじゃない!

コメント:そうだ、凸しちゃえ!

コメント:いや先にコメント凸したのはベアー様だから逆凸では?

コメント:なんでもいいから絡め絡め!


「ああコメントがなんか変な方向に……すみません。エリザベアーさん」


【エリザベアーチャンネル】:通話かまいませんよ


「ええ!?」


【エリザベアーチャンネル】:それで満足して安静にできるのなら


「え、え、でも」


コメント:行け、マレ熊!


「う、うあ、配信中に通話? ほんとにいいんですかエリザベアーさん!?

か、かけますよエイ!」

ティロンティロン、ティロンティロン……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る