第30話 不思議さん①(福井美緒視点)

「あー今日も疲れたー」


「美緒。まだまだ、一限あるからファイトだよ」


そういう彼女は藤見杏花だ。こんなにも仲良くなるとは思っていなかったけど。何だか、一緒にいて、楽しい友達だ。


「がんばろー」


そう言ってると、最後の授業ではなく、ホームルームが始まった。


「それじゃあ、授業はじまるぞ。今日はこの前言っていた通り、クラスの学級委員を決めようかと思う。そんなに大した役職じゃないから。誰かやりたい人いるか?」


宮瀬先生の元気な声ではじまるが、クラス中は静まり返っている。それはそうだ。めんどくさい役回りだと思うもん。


「あっはい。俺やります」


誰も手が上がらない中、勝にぃが手を挙げている。どうしたの?勝にぃ


「そうか〜。七瀬そんなにやりたいか?」


「は••••••い」


渋々手を上げてるように見えるのは気のせいだろうか。


「他にやりたいやついるか〜?」


何だか、嬉しそうに見える。新学年がはじまって間もないが、宮瀬先生の満面の笑みは初めて、見たかもしれない。


「それじゃあ、七瀬が学級委員長だな。みんな拍手な」


「パチパチパチパチ」


一方、杏花はすごい勢いで拍手してるけど。他方ではみんな控えめな感じの拍手だ。


「七瀬。教壇に立って、副委員長を決めてくれ。私は職員室に取りに行くものがあるから決めといてなー」


宮瀬先生はいい加減な感じで教室を出ていってしまった。勝にぃはそのまま、立ち尽くす形になる。


「えっと、どうしようかな」


あははは。勝にぃは頭をかきながら、考えているみたいだ。内心頑張ってほしいとは思うけど。


「まずは、自己紹介か。学級委員長になった七瀬勝です。この前も聞いたかもしれないけど。2回目の2年生です。よろしくお願いします」


「シーーーン」


教室の中は静まり返る。


勝にぃアウェイだよこれ。


「えっと、宮瀬先生から言われた副委員長を決めようと思います。誰かやりたい人います?」


またもや、静まり返る。


ここ、ホームクラスだよね?


えっとこれはあんまりじゃないかなと思うけど。


「じゃあ•••••」


声を私が上げようとするが、後から声が上がる。


「えっと、私やります」


すかさず、後ろを振り返ると、綺麗系の女の子が手を挙げていた。


えっ誰?


「えっと、吉川さん、やってくれる?」


「はい、私でよければ」


すると、吉川と言われる美少女は壇上に上がる。勝にぃは、落ち着いた表情だ。知り合い?あの美少女と?


「えっと、副委員長になった吉川恵です。慣れないところがあると思いますが、よろしくお願い致します」


すると、教室がワット声が出る。


「よろしくー、吉川さん」


「頑張って、吉川さん」


この人、男女ともに好感度高すぎると思うけど。私だけ知らないだけなのかな....


ははは、この差、勝にぃかわいそうだよ。


すると、宮瀬先生がたくさんのプリントを持って、教室に帰ってくる。


「おお、副委員長決まったのか。やはり、吉川なってくれたんだな。これからよろしくな」


「よろしくお願いいたします。先生」


凛と答える姿は、清楚系美少女だ。何で、勝にぃの隣に清楚系美少女なのと思うけど!


「これから、七瀬と吉川の2人をよろしく頼む。以上」


「2人とも席に帰ってくれ」


勝にぃと吉川さんが自分の席に戻る。その際に吉川さんは、勝にぃに耳打ちをする。


ちょっと何してんの、吉川あいつ?と思う。ちょっと恋人同士で羨ましい。


「それじゃあ、七瀬さん」


2人は別れて席に着く。早く離れろ。勝にぃ!


 席につくなり、私は勝にぃの背中に冷たい目線をおくっていた。






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