第25話 閑話休題 日曜日の七瀬家②《七瀬麗香視点》
「「レンアイ、ごっこ?」」
私とおにぃは2人して声を揃えてしまった。
「何だそれ?」
俺の布団の上でにおう立ちしている鈴。何のことかわからない麗香。
そんな俺は麗香に耳打ちをする
「たぶん、最近流行ってる恋愛リアリティーショーをしようと言ってるんじゃないか」
「ああ、なるほど」
俺たちがこそこそと話していると、鈴が間に入る。
「ふたりのおはなし、ダメだっていってるのにー」
「わかった。わかった。それで俺らは何をしたらいいんだ?」
「レンアイごっこなのだから、じゆうー」
「それじゃあ、家で好きなことしてていいのか?」
「そういうコート」
鈴は、俺に布団で踊っている。何だ、普通に家にいるだけでいいのか。
簡単じゃないか!
こうに思っていた俺は鈴の恐ろしさを身をもって体験するのであった。
「鈴、少し離れてくれないか?」
「なにいってるの?まさるー。わたしたちうんめいのであいっていうことなのよ?」
鈴が俺の膝の上で、俺の首に手をかける感じで、見つめている。
「ぐっ、何やってんのよ。鈴?それじゃあ、いかがわしいお店の人みたいじゃない」
「おねぇは、ほんとうにシットぶかいよ」
すると、鈴は俺の肩を少しベロで舐めてしまう。
「おっおい?鈴、何してるんだよ?」
俺は鈴と距離をおこうとするがもうガッチリとコアラのようにホールドされていた。
「にぃにのためなら、私、こんなことだってできるもん」
どこで覚えてきたのかわからないいかがわしい事を平気でやってのける鈴。ほんとうにどこで覚えたんだろう....
「鈴〜もう怒った!おにぃから離れなさいよー」
鈴を無理やり弾きはなさそうとするが、死んでも離さない鈴。その間に巻き込まれる俺。
どこに恋愛要素があるのか、さっぱりわからない。
「まあふたりとも、落ち着け」
「なぁーに、まさる?」
鈴は色っぽい目で見つめてくる。愛玩動物のような感じにも思えてくる。
理性をたもて、俺よ。
「鈴、これって、恋愛リアリティーショーを真似した遊びなんだろう?」
「リアリティーショーはわからない。でも、レンアイごっこ!!」
相変わらず、わけがわからないが。
「恋愛ごっこなら、いきなり、彼氏の肩を舐めるなんて、しないだろう?」
自分で言っていても恥ずかしいが、キチンとした人間になって欲しいと思うため。あえて、兄として言う。
「じゃあ、いつならおにぃのかたをなめたり。チューしたりできるの?」
「「•••••••••••!?!?????????」」
俺と麗香は硬直してしまう。まさか、幼稚園児と侮っていた鈴が、こんなに、ヘンタイだなんて思っていなかった。
もう麗香は、口に手をあてて鈴の方を直視できないらしい。
「あのなー。鈴。そういうことはな。大好きな人にしかやっちゃダメなんだよ。わかるか?」
「わかるよ。スズ、にぃにのこと、だいすきーだもん」
「鈴の大好きは、家族とか兄妹として大好きなわけで、異性だと難しいか...。男の子として好きじゃないだろう?」
俺は至極真っ当な事を幼稚園児の鈴に言い聞かせている。本来は、兄妹仲がいい事は、良いはずなだけに、今のうちに線引きしていた方がいい。
「スズは、にぃにのこと、おとこのこ、としてだいすきだよー。だから、しょうらい、にぃにのコドモがほしーい!」
なんたる、爆弾発言。麗香もう顔を真っ赤にさせて、ワナワナしてるじゃないか。
「鈴はコドモの作り方を知ってるのか?」
そうすると、もう一度、俺の肩、今度は汗を舐めてしまった。
「にぃにからでる汗とか、にぃにからでるものでコドモができるとおもうの」
当てずっぽうに言っているが、なぜか核心を得ているような解答.....
「おにぃの出したもので、子どもがでっ.....できるなんてーーーーーー」
麗香は叫んで、俺の部屋から出ていってしまった。
まさか、麗香は子どもの作り方を知っているのかもしれない。小学生恐るべし....
「鈴〜〜。もう、子どもの作り方なんて聞かないから、聞かれても答えちゃダメだぞ」
「なんで〜にぃに?」
俺をしたから覗いてくる鈴のピュアな心にやられそうになる。
「なんでもだ。もしも約束破ったら、鈴とはもうあそばないぞ」
「それはこまるよ。にぃに。わかった。これから、こどもは、すきなひとからでたものでつくるなんていわない」
改めて、口に出してしまう鈴。本当に恐ろしい末っ子だと思う。
「それじゃあ、お絵描きでもしようか」
「わーい」
俺と鈴は日曜日、お絵描きなどをして遊んだのであった。
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