第24話 閑話休題 日曜日の七瀬家①《七瀬勝視点》
「あー」
昨日の遊び疲れを癒すかの如く、俺は寝ていた。すると、急に視界がブラックアウトする。
「うーー。苦しい」
「苦しい?にぃに?苦しい?」
俺の顔の上でキャッキャしているのは、末っ子の鈴だ。
どうやら、自分のお尻を俺の顔に乗せてるみたいだ。見る人が見れば、犯罪臭がするような感じだ。
「鈴ー。どいてくれー、にぃちゃん死んじゃうよー」
鈴はそれでもどかない鈴。鈴の体重であれば、この状態でもどかせることもできるのだが。
「にぃには、わたしにごめんなさいといわないといけない!」
すると、より力強く、鈴はお尻で顔をおさえてくる。これ以上やったら捕まって、ロリコン認定されちゃうよ....
「どうしてだよ鈴?にぃちゃんは、いつも鈴のために、行動してるだろう?」
「なにをいうの?にぃに?きのう、わたしをおいて、すいぞくかん、いったでしょ?」
「うっ。それをどこで知った?名探偵...鈴?」
痛いところをついてくる
「フフフ、しらべはついているのだよ。モリーアーティーキョーうじゅ?。きみは、だいどころですいぞくかんのチケットをおとしだろう?」
鈴はそういうと。スカートのポケットからチケットの半券を出したようであるが。いまだにすずのお尻が目の上に乗っかっていて見えない。かろうじて、しゃべれているけれども。
「くっもう
「きのうのオコナイをくやむなら。にぃには、きょういちにち、すずのドレイね?」
「ドレイ?」
鈴、なんでそんな言葉を覚えてしまったのか...
にぃちゃん、悲しいぞ。
「わかったらへんじ〜?」
「わかった。わかった。そろそろ顔からどけてくれ」
「わかればよろしいー」
鈴はお尻をどかしてくれた。俺は朝からとんでもない約束をさせられて、日曜日をスタートすることになった。
「おにぃ、おっはー!?その顔どうしたの?真っ赤だよ」
部屋から出ると、麗香と出あってしまう。
「ああ、鈴にやられたんだ」
すると、後ろからきた鈴が俺と麗香の間に入った。
「おねぇちゃんとにぃにのおはなし、ダメー」
「えっ、なんでよ?」
「おねぇちゃんはきのう、にぃにといっしょにすいぞくかんいって、いっぱいおしゃべりして、いっぱいあそんだ。きょうはわたしとにぃにがあそぶの!だから、おはなし、ダメー」
すずは、麗香に敵対心というかもう、炎をメラメラと燃やしている。
「フフフ。鈴。残念だったね。私とおにぃは昨日すごーい楽しんだんだから」
麗香は、みんなで撮った写真をすずに見せびらかす。
「おいおい、麗香。大人気ないぞ」
「ぅぅーうぅわーーーーーん」
鈴が泣いてしまった。
「ごめんごめん。鈴。おねぇちゃんが悪かったよ」
慌てて、鈴をあやす麗香。普段あまり泣かないせいか。泣く時は人一倍泣いてしまう鈴だ。
「どうしたら許してくれる?なんでもするから」
麗香は、すずの頭をよーしよーしと撫でている。
「うゔっ、うん........それじゃあね。おねぇちゃんもわたしのどれいにごう」
「えっ。私が奴隷?嫌だよ」
「うっゔ、わーーーん。おねぇちゃん、なんでもやるっていったのに、ウソついたー」
またまた、泣き出してしまった。
「わかった。わかった。今日だけだよ」
「ぐすん。グスン。ほんとうに?」
「ほんとうだよ。ははー、私は鈴様の奴隷ですー」
麗香は鈴の涙に弱いみたいだ。俺に続き、奴隷二号となってしまった。
「ドレイのふたりとも、チョウショクがおわったら、にぃにのへやにしゅうご-。わかった?」
「「はい、鈴様」 」
こうして、俺と麗香はこの後の散々なめにあうことも知るよしもなかったのである。
一足先に、俺の部屋に行った鈴。その後、朝食を終えた俺と麗香は2階に向かっていた。
「なんで鈴に水族館行ったことバレたの?」
「ああ、台所に水族館のチケットの半券があったんだって、それでわかったみたい」
「バカにぃ。おにぃがだらしないからじゃん」
「面目ない」
俺の後始末が悪かったから鈴にバレてしまった。そのことは甘んじて受け入れないといけない。
「それにしても鈴、何をするんだろう?」
「ああ、そうだな。何するのかだな」
部屋に開けて入ると、そこにはクレヨンで描かれたと思われる字で
「レンアイ、ごっこ」と書いてあったのである。
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