第19話 水族館の私たち③-2 (七瀬麗香視点)

私とおにぃは無事に、水族館のチケットを買えた。


「悪い待たせたな」


「いいよ。これ勝兄さんの分ね」


おにぃの分のチケットを里奈さんがくれて、みんなで水族館の中に入った。



「うっちょっと涼しいね」


「そうね」


美人姉妹、薄手の変態女みおさんは両手をさすっている。そんな格好をしているだから。



水族館の最初の展示は、ここの近くの豊かな湾の紹介をしている。


「おにぃ、ちょっと見えないから、(お姫様)抱っこして...」


今日は鈴が見ていない


盛大に甘えられるのだ。このポジションをうまく活用する。


「昨日は嫌がってじゃないか?」


「今日はせっかく来たのだから、よく魚を見ないと勿体無い」


「それもそうだな」


おにぃは高い高いという感じで、水槽の上から見せてくれる。お姫様抱っこと言っていたのに...少し不服...でもここでお姫様抱っこされるのも冷静に考えれば、恥ずかしいことだと思い顔を赤くした。


「おねぇちゃんも、勝兄さんに頼んでみます?」


「もう、揶揄うな!」


後ろでは、お姉妹おじゃまむしが遊んでいる。


「おにぃ次に行こう」


「そうだな。美緒と里奈も行こうか」


次の水槽は巨大な水槽で、一面がガラス張りで魚の大群が縦横無尽に泳ぎ、エイやアジ コバンザメみたいなのが泳いでいる。


「おお、これはすごいな」


「うん。これはすごい」


私たち兄妹は、巨大水槽の前で感嘆の声をあげていた。これだけでも、ここに来て良かったような気がした。


「へー。小さい魚もやはり群れで行動するんだね」


「そうだな。どんな生き物だって支え合って生きていないと生きられないんだろうな」


美緒さんの言葉に対して、おにぃが声をかけている。私が小さい頃...おにぃと美緒さんと里奈さん、私で遊んでいたこともあるが、ほとんど覚えていない。おにぃが美緒さんに対して、どう思っているのか?がわからない。


「あの2人、ちょっといい感じですね...」


里奈さんが私の隣で言っていている。私はそれを聞くと複雑な感情になる。おにぃのいない我が家、いずれ、誰かと結婚して出ていってしまうのが怖くてたまらないのだ。


「あっ、麗香ちゃん。イルカショーの時間近づいていますね。2人誘って行きましょうか?」


ここから先のクラゲは後回しで先にイルカショーを見ることになった。


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