第7話 美人マネと勝にぃ(福井美緒視点)
私と由依さんは新たな教室、2ーCに向かう。
「いい?美緒?あんたは自分から七瀬さんに行くようなことはダメだからね?今のあんたは、咲?さんと七瀬さんの関係が気になってしょうがないでしょ?」
「うっうん、気になってしょうがない」
由依は小さい小柄な体を活かして、大きく階段を上がっていく。
「そう言う場合、問題は根本的な解決はしてないのでない?」
階段の先をいく由依は、振り返る。
「そうだよね。謝れることは謝れるけど...勝にぃの気持ちも確かめたいで....す」
「そんじゃ、私が七瀬さんの外堀を埋めてあげる!」
わたしは、朝つけてきたブサカワキーホルダーを手に抱えて、不安そうに由依を見上げる。
「悪いよ。私の問題に巻き込んで..」
先ほどは、由依に勝にぃとの橋渡しになってほしいと思ったけど。そこまでしちゃうと...
「いいから。いいから。美緒は大船に乗った感じでいなさいよ」
由依は胸を大きく叩く、階段を上がって右に行ったら、もうすぐ、2-Cのクラスだ。
2-Cのクラスの喧騒からは勝にぃの声も聞こえる。
勝にぃ、誰と喋ってるんだろう?教室の外から中を覗こうとするが、勝にぃは、窓際の後ろの席。
話してる相手もこちらからは、人影になって見えない。
「ほら、ドンドン教室に入る」
由依に背中を押されて、教室に入る。教室の黒板には座席表が張り出されていて、私に席はと...
勝にぃの斜め右後ろ.....
くじ運というか。席運はいいはずなんだけど。今回の場合、悪いと言ってしょうがない。
「あちゃー私、美緒の席とは男子の列挟んだ。向こう側だわ」
私とは、右の男子の列を挟んで、向こう側になる。
「まぁ、強敵、2人目かもだから頑張れ?」
由依は、勝にぃの方を手を差し伸べると、先ほど見えなかった小柄な女の子?がいた。小柄な女の子は私も去年見たことがあった。
「藤見杏花ね。男子の中では人気は絶大だし。男バレのマネだし。あの子は強そーだね。わたしもお手上げだわ」
由依は目を細めて、言って私をからかう。
「さっきの大船はどこに行ったの由依さん?」
「想定外だけど。あんたも勝にぃの近くの席なんだから、まずはさっきの一件すぐに片付けて、ドシドシアタックしてみー」
すると由依さんこと、由依は黒板の前から自分の席に退散する。
そんなこといわれても....相手は男子人気1番だけど。女子からの評判は芳しくない藤見さんだ。
藤見さんは男子に媚を売ってるとか色々と女子からの印象は良くない。
今だって、勝にぃと藤見さんの周りには人がいない。
私はうだうだと考えていては進まない。
勝にぃに、おはようと言えばすむ話だ。カバンのブサカワキーホルダーを右手に掴み、意を決して、私の席に行く。
近くに行くと....勝にぃと藤見さんはなぜか、勝にぃが少し泣いてる藤見さんを優しく撫でてていた。
どういう状況これ?
勝にぃと藤見さんは、こちらに目もくべず、ひたすら、勝にぃが藤見さんを優しく見守っている感じだ。
すかさず、由依に目配せをするが、こちらを振り向く。状況がわかってないらしく、由依は何のことやら?という感じだ。
しょうがなく、私は2人に気を使い、藤見さんの後ろの席に座る。
後ろの席についたのに、勝にぃは、美人マネのことを気遣っている。
何これ?わたしだけまた、
でも後ろ席から見る2人はなぜか、あの頃の勝にぃと私のようで、少し羨ましかった。
私に気付いてないのか。2人で会話を始める。
「そんなことより、藤見?」
「何ですか?先パイ」
少し涙目になっている藤見がいる。勝にぃは何をやらかしたんだろう?
「その先パイ呼び。どうにかならないか?」
「どうにかって、先パイは先輩でしょ?」
「俺はもう、
藤見さんは指を顎に指し、私に気づいたのか。小悪魔のように微笑む。
「それじゃあ。
私の胸が高鳴る。
「えっ。お前。本気か?」
「おお
よりにもよって、
「もしかして。さっきの美緒との会話を聞いていたのか?」
「あんなに公衆の目前で痴話喧嘩してたら嫌でも聞こえました。クラスメイトの美緒さんがいいなら、わたしももちろんOKですよね?」
痴話喧嘩って、私と勝にぃはそんな関係じゃないわ。
「ああ。慣れないが。いいぞ」
いいんかい。私はツッコミをいられざるを得なかった。そんなに簡単に...美人マネだからなのか。ロリポい体型だからなのか....
「じゃあ。先パ...間違えた。勝よろしくね!」
私の目の前で、勝にぃの手を取る。なんてあざとい
勝にぃと藤見との距離が一気に縮まったように感じた。
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