憑依 ー 復讐の蒼い炎 松岡編2 ー
ジジジ……ジジジ……画像が切り替わる。
「痒い~」「痒い~」「誰か~助けてくれ~」
朝日が差し込む森の映像が映る。
「昨日は本当によく眠れました。いつもは想像の中でしか殺せなかった相手が、今はすぐ目の前にいて呻き声をあげている。ああ……なんて幸せなんでしょう」
「今日もしっかりと地獄を見せてあげます」
そう呟いたあと。コーヒーを口に含み、目を閉じてゆっくりと香りを楽しむ。
…………
「おはようございます松岡さん。昨日はよく眠れましたか?」
松岡の身体には沢山の虫が集り、その周りを『ぷーん』という不快な音を立てながら、大量の蚊が飛び回っている。
「一睡も出来てねえよ……もう許してくれ、頼むよ」
地面に頭を擦り付けて、土下座の状態で必死に懇願する松岡。
土下座する松岡の背中にも大量の虫が這いまわっており、所々血がにじんで見える。おそらくカミキリムシが
「どうしたんですか松岡さん。昨日は私を攫うとか、私の顔は覚えたとか、怖い顔で恫喝していたのに……もっと元気を出してくださいよ~」
「昨日は生意気言って本当にすいませんでしたぁ。もう勘弁してください、お願いします」食い気味に謝罪をする松岡。
昨日まで強気な発言を繰り返していたが、虫による拷問を1日中受け続け、心が完全に折れてしまったのだろう。虫による拷問の恐ろしさに、あらためて背筋が寒くなる。
「松岡さん昨日の話の続きになりますが、私が誰か思い出しましたか?」
松岡は少し考えてから「…………2週間前にあったサークル主催のコンパ帰りに……その……
その言葉を聞いて笑顔が完全に消える
「違います。一体何人の女性を
「ま、間違えました。1か月位前に浮間舟渡の公園前で拉致した人ですよね、本当にすみませんでした」慌てたように答え直す松岡。
「ちょっと待ってくれ、お、思い出した2か月前の赤羽北の公園で……」
次々に犯行を自供していく松岡。日常的に
こいつらには地獄すら生ぬるい。そう強く感じた。
「もう一つヒントをあげましょう。あなたたちは、私を
「海……海なんて何回も行ってるし……すぐには思い出せねえよ……いつ頃の事か教えてくれよ、頼む」
「坂口さんは、このヒントで私のこと思い出したんですけどねぇ……。松岡さん、ひょっとしてあなた馬鹿なんですか?」
「坂口……坂口もここにいるのか、どこにいるんだ」
「あそこですよ、ほら」
目を凝らしてその隙間を見る。それは自ら舌を噛みきり苦悶の表情を浮かべる坂口の死体だった。
「さ……坂口……ああああああああああああああああああ」坂口が死んでいる事に気付いた松岡は、失禁しながら絶叫をあげた。
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ」松岡の絶叫に合わせて、
「松岡さ~ん。坂口さんが『淋しいよ~淋しいよ~』って言ってますよ。早く逝ってあげないと~」
「許してくれ~自首する、自首するからぁ、だから命だけは助けて下さい。お願いします。お願いします。お願いします」
地面に何度も頭を叩きつけながら、必死に懇願する松岡。
ジャバジャバジャバジャバ……。
必死に命乞いを繰り返す松岡の頭にゆっくりと
「いま松岡さんが言ったような台詞。坂口さんが言わないはずありませんよねぇ」
「金……お金もお支払いします。親に頼めば1000万位は用意出来ると思いますので、それで許してください、お願いします」
「その台詞も坂口さんから聞きましたよ~松岡さん。あなたはもう終わりなんですよ」
チョロチョロチョロ……。
ペットボトルのフタを開け、白い液体を坂口の身体に少しずつふりかけながら
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「また6時間後にお会いしましょう。それまで悔いのないようしっかりと念仏を唱えといてくださいね……松岡さん」
「待って下さぁぁぁぁい、まだ死にたくない~俺にはまだ、やりたい事が沢山あるんだぁぁぁぁ~死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない……」
必死にもがき暴れまわる松岡。
ジジジ……ジジジ……画像が切り替わる。
…………
あれだけヒントを出しても、最後まで
怒りで気が狂いそうだ。早く松岡が無残に死ぬ姿をこの目で見たい。
僕は心の底から、そう思っていた。
…………
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