幕間 同時刻 コミュニティ ラッカーズサークル東部

 同時刻 コミュニティ ラッカーズサークル東部

 

「リヴィ。もうそろそろ怒りを鎮めてくれてもいいんじゃないか?」

 白髪頭の男はその一室の面積の多くを占める巨大なソファーで横になっている耳のとがった少女に向けておずおずとそう言った。

 だが、リヴィと呼ばれたその少女は反応を返す素振りは一切無い。それどころか、体を横にして反対側を向いてしまった。

「頼むよ。この通りだ」

 そういった男は手を合わせてみせた。少女はちらりと男の方を見はしたが、その態度は先ほどと変わらない。ソファーの上でそっぽを向いたままだ。

 さすがの男も疲れてきたのか、ため息がその口からこぼれる。

「……別に、今のうちはそれでいい。でも彼が来たら先輩としてしっかり頼むよ?」

 男はそういうと、部屋の奥にあるキッチンでコーヒーを淹れた。リヴィと呼ばれた少女はというと、男の「先輩」という言葉に反応して耳を動かしたが、それきりで、特に変わった様子は無い。だが、男はそんな彼女を見て、どこか安心した表情のままコーヒーをすすって再び椅子に戻ったのだった。


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