創世前夜
「これで十六の世界が滅びたか。」
吐息混じりに言葉を吐いてみたが、虚しさが消える事はなかった。
心の中では、何処かの世界で計画が失敗する事を望んでいたのかもしれない。いや望んでいた。
だが結果の通り、淡々と冷酷に計画は進み滅んだ。
(嘆いているのか?)
そうかも知れないと主神に言ったが。
「俺に嘆く資格はないですよ、こんな計画を建てて実行した段階で。」
今にも消えそうな声で言葉を繋げ主神に告げる。
(資格はないか。我はそうは思わんがな。計画の段階で何処かに甘さを残しておったのを我は知っていたが、敢えてそこに触れる事はしなかった。我は其方達と同化した段階から其方達の優しさを知っている。
故に何度も言う。其方達は屠ってしまった世界の者達を嘆く資格はあると。)
嗚呼、我が主神様はなんて優しんだ、言葉の一つ一つで涙が溢れそうになる。
されど主神様貴方が、俺を肯定してくれたとしても、俺は....
「時が満ちたか。」
新世界を見下ろす位置に移動する。
「綺麗な世界だ。きっとこう言う景色を幻想的と言うのだろう...主神様世界に神言を。」
身体から力が抜けていくのを感じる。主神様に身体をお渡しするこの瞬間だけ、安らぎがある。
「全ての生命よ我に委ねよ、我に明日を。我に定めを。我に希望を。我に帰れ。我に委ねよ。今世界は崩壊と共に創造(はじまる)」
世界が炎に包まれ、悲鳴が天まで届く。
お前達の痛み恨み全て受け入れる。神と世界を恨むのではなく、俺を恨め。お前達にはその資格がある。
全ての生命に有限を、全ての生命に定めを超える力を。
(誰でもいい、俺を シテ レ)
崩壊から始まる世界のはなし 櫻川大縁 @taiensakuragawa
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