第7話 はじめてのキス

 旅行当日


新幹線で、東京駅まで行き、乗り換えて舞浜駅まで行った。

なんとなく、ディズニーに行くなら車かと思っていたけど、そこはやっぱりJR。

新幹線、ホテル、ディズニーパスポートのセットプランをとってくれた。

ランドとシーの2デイズパスポートだったから、どっちでも良かったけど、夜までいるなら雰囲気のいいシーの方へ1日目は行くことにした。


私は絶叫系も大好き。

石中君は、あんまり得意じゃないと言ったけど、ディズニーの絶叫系は、富士急ハイランドの絶叫系に比べたら、おこちゃまレベルだから、まぁ大丈夫だろうといろいろと乗った。


暗くなってきて、クリスマスツリーも灯りが灯された。

すごくキレイでロマンチック。

自然と手を繋いで歩き、ベンチに腰かけてイルミネーションを見ていた。


「美優……キスしてもいい?」


はじめて下の名前で呼ばれた。

キスするのに、キスしてもいいかって聞かれたの、初めてかも。


「うん」


私に顔を近づけ、くちびるを触れ合わせた。

口を開きかけた時 くちびるを離された。

体感的には、軽くチュッと くちづけしただけって感じ。


ん?

なに?

終わり?


「何 食べる?」


ちょっと!ちょっと、待って?

もしかして、石中君 今のファーストキスだったりする?

キスしていいかって聞いてのキスがあれって?


出会って2ヶ月、つきあうことになって1ヶ月が経ったけど、今のが初めてのキスだった。


やっぱり、女性とつきあったことがないから、経験がないんだな。

なんて、なんて純粋な人なんだろう。


付き合い始めたばかりで、こんなことを考えるのもなんだけど、石中君は仕事もちゃんとした会社だし、誠実な人柄だし、明るくて穏やかな性格だし、きっと結婚相手にはいいんだろうな。


まだ23歳で、私も結婚なんて考えてはいないけど、でもきっと結婚相手はこうゆう落ち着いたタイプがベストだろう。

ずっと、ドキドキしていたら、生活できないもん。


石中君に対して、大好き!って思ったことは、1度もない。

だけど、一緒にいて嫌な気持ちになったことも、1度もない。


私は大好きでも、私のことを好きになってくれない人といるよりも、きっとこの人といる方が、平凡でも平穏な毎日が送れるんじゃないかな。


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