第3話 2人で食事

 多津勢は、昔からあるお店で高級な感じ。

単品のうな重は5,000円、うな丼が2,800円。

都会ではもっと高いのかもしれないけど、田舎でこの価格は、かなり高級と言える。

お店に入ってすぐにカウンターがあって、それ以外は店の奥の方の個室に案内される。

お忍びデートにも もってこいで、池田さんと3回くらい行ったお店だ。


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 1週間後


 18時に駅で待ちあわせ。

普段、私は、車通勤をしているから、電車を利用することはほとんどない。

駅で待ちあわせと言われているのに、車で行くのはちょっと?と思って、電車で行った。

まぁ、お酒を飲むなら、電車の方がいいだろうし。

そう言えば……石中君の住所とかも聞いてなかったな~。

お家はどこなんだろ?

ってか、仕事も聞いてなかったな。

ま、今日聞けばいいか。


改札を出たところで、真ん前に仁王立ちと言った感じで石中君が立っていた。

えっ?早っ!!

今、17時41分

私、駅ビルでリップだけ買いたかったんだけどな~。

そのつもりで、少し早めに来たのに。


「こんばんは。もしかして、待っててくれたんですか?」


「あ、いえ、僕も今着たところです。ちょっと早く着きすぎちゃったって思っていたところでした」


「予約は、何時なんですか?」


「18時15分です」


「あ、それなら、たぶん今から行っても大丈夫だと思います。

個室なんで、部屋に通してもらえると思うんで」


「あっ、田嶋さんは行ったことあるんですね?」


「はい。会社の上司たちと1度行きました。

すごく美味しかった記憶なので、久々に楽しみです」


「へぇ~ そうなんですね~!」


3回ってゆうのは、伏せておいた。


駅から歩いて10分くらいですんなり着いた。


「予約した石中です。早く着いてしまったのですが」

石中君がそう言うと、思った通り、大丈夫ですよと、奥の個室に案内された。


「こうゆう感じとは思ってなかったな。

お店の中の画像とか載ってたの見たけど、よくある小上がりみたいな感じかと思ってました」


「そうですよね。

あ、あの、同い年なので、普通に話してもらっていいですか?

って、私も敬語で言っちゃったけど」


「あははっ!僕もちょっと緊張しちゃってて。

緊張すると、敬語になっちゃうんだけど。

そうだね!普通に、話すね」


「私も、紹介とかしてもらうの初めてだったから、ちょっと、緊張してた」


「あっ、僕も」


失礼します、と、お店の方がお茶とおしぼりを持ってきてくれた。


「あ、注文考えてなかったな。

田嶋さんは、何を食べる?」


「私は、うな丼の御膳にしようかな?」


初めて来た時は、池田さんとうな重を食べた。

デッカイうなぎ丸々一匹で、だいぶ無理して食べた。

次に来た時は、うな丼にした。

うな丼は、半分くらいの量でちょうどよかったし、うな丼御膳にすると、きも焼きや小鉢や漬物、お吸い物が付いてくる。


「じゃ、僕もそれにしよ。

うな丼の御膳を2つと、アサヒの瓶ビールと、ノンアル1本お願いします」


ノンアル?

お店の方がふすまを閉めてから聞いてみた。


「ノンアルは、私に?」


「えっ?田嶋さんは、今日飲めるよね?」


「ん?石中君、ノンアル飲むの?」


「あぁ、俺 車だから。

あ、帰りは家まで送るから」


なんで?

駅で待ちあわせで、なんで車なの?

この間は、宮元君と生ビールをガンガン飲んでいたから、飲める人だと思うけど。

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