第24話
僕は、今、大切な話をするために、喫茶店にある人物を呼び出した。
面と向かって真面目な顔して座るのはちょっとハズい。
「この間から、絡む機会が多いですよね」
相手から口火を切った。
「そうだよな~」
注文をしたコーヒーを飲みながら、緊張をほぐそうとする。後輩相手にこんなに緊張する日がくるとは…。
「話って…たぶん
「まあな」
でも、まあ、こういうのは僕
らしくないよな。
「尚惟、この間の…」
「休戦の話ですね」
わお……話しはや…
「まあ、状況も分かったし、もう必要ないだろ?休戦の」
「まあ、そうですね。ってことは、これでバチバチのライバルですか?」
バチバチって……
「まあ、そーゆーことに…なる?」
何を確認しとるんだ僕は…。
「そうか…分かりました。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる
「やめろよそういうの…」
「え?なんでですか?俺たちライバルでしょ?好敵手ってことでしょ?」
ああもう、歯がゆい。
「この間と反応が違うのな」
「あ、分かります?」
尚惟はコーヒーを一口飲んで、こっちを向くとちょっと笑った。
「
おっとー……ライバルに認められた。
「それに……」
「それに?」
「二美さん、ちょっとズルいの好きみたいなので」
「は?」
「ちょっと悪賢く、大丈夫です、アピールしようと思ってます」
ええ……
「二美さんの彼氏は俺なので。先輩と言えど容赦しません」
おお、いい男だ。草食系な感じで見せておいて、実は肉食系ってかんじ?
つうか……そういえば、裕太先輩が尚惟にはあんま文句言わないような……。
「そういうとこか、先輩が気に入ってるとこは……」
「え?」
僕もね、結構、君の性格好きなんだよね。しっかり図太いとこ、大事だよ。
「僕、諦め悪くてね。二美ちゃんのこと、結構、本気なんだ」
「……分かってます。嘘つけない人ですもんね」
いちいちハズイな……。
そうだな、嘘、苦手だ。
この間の病院の涙から、どうやらスイッチが入ってしまったようだった。もともとお気に入りの子だったのだけど…。
「僕はね、尚惟のような実直な男ではないけど、彼女が好きだよ」
「はい。俺もです。……光麗さん、俺たちって変でしょ」
「まあな……」
苦笑いしながら、カップを持ち上げる。
「ああ……じゃあ、フェアに行きたいんで、1個いいですか?」
「え?何…」
「尊さんのことです」
尊先輩……?
「俺たち、この間から裕太さんだけでなく尊さんにも気を付けてるんですけど、」
「まあ…確かに尊先輩も二美ちゃんのことになると怖い一面をみせているけれども」
「ですよね?更に、一緒に住み始めてて……」
「誰が」
「尊さん」
「誰と」
「裕太さんとこで」
……はあ、……あの人たちときたら、
二美子さんも大変だな。まあ、俺たちもだけど。と、呆れながらコーヒーを飲む。フワッとした苦味を感じながら、ごく自然に妙な考えが脳裏に浮かぶ。
「まあ、掘り起こすことではないが、尊先輩って二美ちゃんへの想いが普通じゃない気がするよな……」
「光麗さんもそう思いますか?」
「まあな~。僕も実はちょっと警戒してるんだよね~」
「……俺もです。なんだか特別感がすごくあって、聞いても答えてもらえなかったです」
聞いたのか…こいつすごいな…。
「けど、確かに有休取得も早かったし、裕太先輩の親友だから相談されたのだろうけど…………」
だとしても、一緒に住んだりまでするかな。
「光麗さん、俺、今からバイトなんんで」
「あ、悪かったな。ここは払っとくよ」
「ありがとうございます。あ、それから今日、夕方、裕太さんとこ行くんですけど、来ませんか?」
「ああ、快気祝いだろ?ちょっと遅れるけど行くよ」
「はい、じゃあ後で」
尚惟が出ていくのを見送ったあと、ひとり残って、天井を見上げた。
実を言うと、この間、裕太先輩の父を追う前、尊先輩を電話で呼び出して、この写メの人誰かって聞いてたあの時、変なやり取りをちょこっと聞いて、モヤモヤしてんだよな~。
「これって……」
「やっぱ…そうだよな」
「記憶が古くてなんとも言えないけど」
2人の会話。知ってたのは裕太先輩の父親だったからだよな~。記憶が古くてなんとも言えないって言うのはどういう意味だろうか……?
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