終章  桜の話

 校庭に、物を埋めてはいけません。


 僕の母校、F県の片田舎にあるK小学校には、昔から不思議な決まりごとがあった。

 なぜこんな決まりごとがあるのか、生徒は誰も知らない。先生たちに聞いても、口をにごすばかり。田舎だからか、K小学校の先生たちはみんな、昔からこの辺に住んでいて、この学校の卒業生でもある。本当ならこの不思議な決まりごとの理由も知っているはずなのに、今まで誰も話してくれなかった。だから生徒たちの間では、色んなうわさが飛び交っている。

 その中でも、まことしやかに囁かれている、うわさがある。




 中庭にある万年桜の木の下に、消えてほしい人の名前を書いた手紙を埋めると、その願いが叶う。




 今もK小学校の中庭には、一年中散ることの無い万年桜の花弁が、色鮮やかに舞っている。

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