君に。
※これは第一話の男子目線です。悪しからず。
明日こそ、って思ってるの知ってるよ。
俺はクラスに入って早々、ある人を可愛いって思った。これが一目惚れなのかもしれない。
別に、別に何か思ってるわけではない。恋してるわけでもないし、ただただ興味で話しているだけ。いーっつも無口でオドオドしながらこっちに視線を送ってくるのが面白くて。
最初はちょっと揶揄ってるつもりで話しかけていた。
でも、彼女の中でも何かが変わっていったみたいだ。
最近はかなりおどおどしながら、めちゃくそにちっちゃい声で
「おはよう」
って返してくれた日もあった。
俺が嬉しくなってるのは、それだけではない。
俺が1人で適当に話していることに相槌を打ってくれることだ。
最初はちょっと瞬きするだけだったのに、最近は頷くだけじゃなく、声に出して打ってくれるから話しやすいし話してて楽しい。
めっちゃ喋るわけではないけれど、それでもあいつが話してくれるのが嬉しかった。
ちょっと前に俺がめっちゃ話したくて挨拶を抜いてしまったときには、向こうから言ってくれたし、きょどってた言葉もしっかりしてきた。
なんとなく、父親になってる気分だ。
彼女が話しかけてくれたあの日から、俺は変わった気がする。
周りにも気づかれるくらい、自分に気を遣った。
勉強を教えられるように勉強して。
彼女を困らせないよう、話し方も気を遣って。
何かに気づけるように観察眼を鍛えて。
もしかして、何か彼女が苦しんでるのではないか?
面と向かって聞けることじゃないからこそ、自分で気づきたかった。
彼女が俺を好きって気づいたのはつい最近だ。
俺の友達が「あいつ、お前のこと好きらしいぞ」って。
確かに、他の人とはほとんど話していないし、俺にだけ笑って話しかけてくる。
移動教室もうれしそうだし、前に手首についてるゴミを払おうとしたら脈が速くなって赤面してた。
それは単に男子に触られてびっくりしただけなのかもしれない。その時はそう思っていた。
でも、この噂が本当なら。
俺も、叶えられるんじゃないか?
明日のおはようが、ちょっとだけ楽しみになった。
明日も、君に会えたら。 結花紡樹-From.nanacya- @nanacya_tumugi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます