日記
十二月二日
今日、同じクラスの沢田さんに放課後呼び出された。なんでも先日橋川君に告白された件で
沢田さんは橋川君が好きだったらしく、なんでお前がと十分くらい罵声を浴びせられた。そ
して最後にお前をいじめてやると言われた。そういうところが橋川君に好かれないんじゃ
ないかと思った。ということで私は明日からいじめられるらしい。まぁ別に気にしないけど。
ただ、いつも一緒にいてくれる早苗ちゃんと穂香ちゃんに迷惑が掛からなければの話だけ
ど。とりあえず何かの証拠になるかもしれないから今日から日記をつけようと思う。
十二月三日
いじめはとても陰湿なものだった。教科書の中に落書きをされたり、休み時間に二人にばれ
ないように呼び出されて見えないところを殴られた。まぁ二人に迷惑が掛からないなら別
にいい。
その下には落書きされた教科書や殴られた跡の写真が貼ってあった。読み進めていくと大
体同じような内容が書かれていた。二月のある日までは。
二月十日
殺された殺された殺された なんであの子がなんで 何をしたっていうのよ!
私は何もしてない。ただの逆恨みじゃない。それでなんで一つの命を奪えるのよ
猫だからいいの?いいわけない。もうどうでもいい。何もかもどうだっていい。
親がうるさいからいじめられても何も言わず学校に行ってきた。でももう行きたくない。
沢田さんたちが次何をするか想像できる。次はあの子たちだ。
早苗ちゃんと穂香ちゃんだけは、、、私が学校に行かなければすべてが解決する。
もういい。もういい。
殴り書きしてあった。感情のままに書いたような文字だった。
二月十一日
ダメだった。やっぱりあの人たちには何を言っても意味がなかった。私は昨日あったこと、
今までされてきたことをこの日記の写真を見せてお母さんとお父さんに説明した。でもそ
れを聞いたお母さんとお父さんは「そんなくだらないこといちいち言ってくる暇がある
なら学校に行きなさい。」「お前はお兄ちゃんと違ってできない子なんだから、そんなことさ
れても文句は言えないのよ。」と言ってきた。あぁこの人たちは親じゃないと思った。もう
いい。何も言うもんか。
それから空白の期間が開いて今年の夏。
七月二十五日
久々にこれを書く。あれから部屋に引きこもる生活を続けて半年近くたった。半年の間に精神病院に行って鬱病と診断された。それから薬を飲んでずっとベットにいる生活だ。もう生きてる意味を見いだせない。鬱病と診断されてもあの人たちの態度は変わらなかった。むしろ悪化した。なんでお前は生きているといわれた。私だってわからない。そして最近体のだるさやあざのできやすさに疑問を持って病院に行ってきた。そしたら白血病だって。もう三か月しか生きられないらしい。あぁ神様も私に死ねといっているのね。もう全部がどうでもいい。だから決めた。人を殺してやる。そしたらあの人たちも捨ててくれるでしょう。捨てられたら残りの時間を好きに生きるんだ。
七月二十六日
消えない、消えない。血の匂いが手にこびりついている。殺した。人を。犯罪者だ。でも私は卑怯者だ。人を殺すと決めた時点でフードをかぶってマスクをした。怖かった。私を見ないでほしかった。でもあの制服を見た瞬間頭に血が上った。ぐちゃぐちゃだ。もう私が何を言っているのかさえ分からない。もうだれか私を殺してくれ。
血がにじんでいた。やっぱりこいつは優しい。優しすぎるんだ。追い詰められて殺人に手を染めたのはよくなかったがそこまで追い詰めた沢田達や親が悪い。こいつは優しすぎるがゆえに潰された。僕は別に自首してほしいとは思っていない。僕の親や冤罪で捕まったやつには申し訳ないがもう僕はこいつを追い詰めてほしくない。あんな親の元で十七年生きていじめにも耐えて最後には余命宣告までされたんだ。なぁ神様、もう十分だろう。人を殺した分の罰はもう十分受けている。もう楽にしてやってくれ。残りの人生くらいいいものにしてやってくれよ。そう思って僕は日記を閉じた。
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