#59 逆プロポーズの裏事情と失意の新社長



 超ご機嫌なハルカさんがベッドの中で他にも色々話してくれて分かったのが、リカコさんに俺の事を好きだと白状した後、セックスへの不安も相談してたらしく、リカコさんからはアドバイスとして俺の性癖とか好みを色々聞かされていたらしい。


 ストッキング&ガーターベルトなど俺好みのセクシーな下着で迫ったのも、敢えてノーブラで爆乳をプヨンプヨンさせてたのもリカコさんのアドバイスだったらしく、お風呂場で口でしてくれたのも、リカコさんから「フータはお口でして貰うと弱いのよ」と教えられたが、ハルカさんは口でするのも苦手で数える程しかしたことが無かったので、リカコさんに特訓して貰ったらしい。

 確かに少しぎこちなかったけど、悪く無かった。


 いつそんな特訓してたんだ!?と驚いていると、俺たちが離婚して以降頻繁に泊まりに来てたのはそういう相談をするのが目的だったらしく、俺だけ衣装部屋に追いやって、寝室では遅くまでそんなことをしてたそうだ。

 リカコさんは元プロのマナー講師だったし、きっとエッチなテクニックを教えるのも上手なんだろうな。


 なので、ハルカさんとしては今日自分からプロポーズしてセックスもすることが出来たのはリカコさんのお陰だそうで、「色々あったけど、やっぱりリカコさんは私にとっては恩人なんだよね」と楽しそうに話していた。



 因みに、リカコさんが沼津に行って以降、何度も俺にプロポーズをしようとしては拒絶されるのを恐れて手をこまねいていたらしく、今日俺にお説教を始めたのもプロポーズする流れの切っ掛けを作りたかったらしく、なのに俺からはスカウトされて就職するかもしれないと聞かされ、アルバイトを辞められるともうチャンスが無くなると焦り、強行したそうだ。




 で、その日から度々仕事の後、そのままお泊りする日が増えた。

 毎日では無いけど、ハルカさんがしたくなると、夕方まだ仕事中の俺を誘ってくる様になった。

 どうやら本人が言ってた通り、俺と初めてのセックスをして以来、俺とのセックスにどハマりした様で、今までの反動もある為なのか、仕事で毎日顔を会わせてるからすぐムラムラしてしまうらしく、頻繁にしたがるようになった。



 今日も俺が1階のダイニングキッチンで一人で翌日のメニューの確認作業をしていると、廊下からハルカさんの口ずさむBGMが聞こえて来た。


 今日のBGMは、スパイ大作戦のテーマだ。

 因みに、一昨日は燃えよドラゴンのテーマで、その前はジェームスボンドのテーマだった。


 セクシーな下着やコステュームで誘うと、上手いこと俺がその気になって応じてくれることに味をしめて、したくなると毎回こうやって誘って来る。

 BGMを口ずさむのは、多分テレ隠しだろう。

 なんだかんだ言っても今までシモネタNGだった人だし、自分から「エッチしたい」と言うのはまだ恥ずかしいんだと思う。



 まだ仕事中なのにな、と溜め息混じりで振り向くと、そこには白いマイクロビキニの水着姿でグラビアアイドルでも意識してるのか両腕で爆乳を挟んだ変なポーズをした今年33歳になるバツイチ女が。

 顔と体は俺好みで十分魅力的なのに、BGMやポーズのチョイスが残念すぎる。



 しかし、的確に俺の性癖を突いてきやがった。

 極小のマイクロビキニでは全く隠すことが出来てない爆乳が、俺の視覚と股間を激しく刺激してくる。

 相変わらずオバケみたいなおっぱいの存在感が半端ないな。

 こんな据え膳タプンタプンと目の前にぶらさげられて、喰わねば男として、いや哺乳類として失格だろう。




 ◇




 ハルカさんと籍を入れる決意はしたが、実際に入籍するのはまだ待って貰っている。


 理由は単純で、世間体を気にしてのことだ。

 離婚して直ぐに再婚したりしたら、まるで俺も離婚前から不倫してたみたいに思われそうなので、最低1年(去年の12月に離婚してるので、早くても来年の年が明けるまで)は待つことで納得はして貰っている。

 但し、ハルカさんも年齢を気にして焦りもある様で、入籍せずとも今から子作りを頑張ることが条件だった。

 子供は俺も欲しいのでそれでお互い合意して、『新しい家族の為にも頑張らなくては!』と今は仕事への意欲も復活して、二人で協力して働きながら、子作りセックスライフも楽しんでいる。




 と言うことで、藤田さんのお誘いは丁重にお断りした。


 理由を聞かれたので、正直に『今度再婚することになりまして、その方の会社で正式に働くことになりました』と説明した。


 すると、電話の向こうで絶句してるのか反応が無くなったので、もしや俺も不倫してたと誤解されたか!?と不安になり、誤解を解くために『その人とはつい最近付き合い始めたんですよ!離婚する前に不倫とか俺してませんよ!』と釈明すると、『ええ、それは分かってます・・・でも、まさかこんなに早く・・・』とまだショックから立ち直れてない様子だった。


 慰めようと『俺みたいなプータローなんかよりも、もっと優秀な人材なんていくらでもいますよ』と言葉を掛けると、急に語気を強めて『東丸さんには仕事だけじゃなくプライベートでもパートナーになって欲しかったんです!もう良いです!お幸せに!』と捲し立てられ、ガチャ切りされた。



 えー!?

 藤田さんもだったの!?


 とビックリしたが、いくら女子アナみたいで綺麗な人だと言えども、結婚相手としてはちょっと無理だな。

 良い人なんだけど、隙が無くて家で一緒に居ても気疲れしそうだし、夫婦の間でもあれやこれやとダメ出しとかされそうなんだよな。


 と失礼にも生意気なこと考えてから、『最近のモテ期到来に調子に乗ってるな俺』と直ぐに自省して、心の中で静かに藤田さんの幸せを祈っておいた。




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