#58 瀬戸際女の大逆転
ハルカさんを抱き寄せると、体をビクっとさせて強張ったのが分った。
ここまでお姉さんぶって余裕あり気に振舞ってたけど、きっと内心では俺に拒絶されるのでは無いかと不安だったのだろう。
安心させるつもりで抱く腕の力を強め、更にギュっと抱きしめ体全体を密着させると、ハルカさんの体から力が抜けて、両手を俺の背中に回してきた。
しばらく無言で抱き合ったあと密着させていた体を離すと、目をウルウルとさせて俺を見つめていた。
自然と唇に引き寄せられる様に軽くキスをすると、今度は両腕を俺の首に回して何度も何度も激しく貪るようにキスしてきて、後ろに押し倒された。
「私、もう後が無いから。今日はなんだってするんだからね」
キスを中断してそう言うと、ベビードールを脱いで再び激しくキスをしてきたので、今度は俺も舌を絡ませて応戦した。
流石に仕事場では気が引けたので、「上に行きます?」と訊ねると、「マリンに邪魔されない様に上に閉じ込めて来たから」と言い、このままココで続けたいと言うので、俺も体を起こして3秒で服を脱いでパンツ1枚になった。
リカコさんとは去年の4月頃からセックスレスで、1年以上ご無沙汰だった俺の下半身はパンツからハミ出す勢いでギンギンだ。
「先にシャワー浴びて来ましょうか?」
「そんなの良いから。このままお願い」
ああ、そうか。
ハルカさんはセックス苦手なんだった。
今こうして俺とセックスしようとしてるのも、無理して頑張ろうとしてくれてるんだ。だから、気持ちが乗ってる今、変にインターバル挟んで冷静になるのを恐れているのだろう。
そう思い至ると、ハルカさんのことが
だから俺は、自分のプライドを掛けて全力でハルカさんとの初セックスに挑んだ。
ハルカさんの苦手意識を解すつもりで、口や手で焦らずに時間を掛けて念入りに、リカコさんに鍛えられたあらゆるテクニックを駆使した。
最初は声をガマンしようとしてたハルカさんがガマン出来ずに嬌声を上げ始めると、まだまだこんなもんじゃないぞ!と更にギアを上げて、「もういいから、入れて、お願い」と降参するまで全力の愛撫を続けた。
* * *
本番では、ハルカさんの体を馴染ませるように優しく責め続け、そんな俺の責めにハルカさんは散々乱れ、終わった後もダラしなく仰向けで隠そうともせずにガニ股を開いまま「こんなに凄いの初めて・・・。頭がおかしくなりそうだった」と息も絶え絶えに零していた。
リカコさんの時はこの言葉を言わせるまで時間がかかったが、ハルカさんには初セックスで言わせることが出来た。
どうやら、俺が全力で挑んだセックスに満足してくれた様だ。
その証拠に、少し休憩した後「一緒にシャワー浴びよ」と裸のまま手を引かれて1階のお風呂場に連れていかれ、一緒にシャワーを浴びていると、そこでもハルカさんが「今度は私がするから」と言って口でしてくれて、そのままお風呂場で2回戦目を始めた。
更に夕飯を一緒に食べた後、「今日は泊まって行ったら?」と言うのでそうさせて貰ったら、寝室で寝る前にも3回戦目が始まった。
セックスが苦手だと言ってたハルカさんが一晩で3回も求めてくるというのは、それだけ満足してくれたと判断して間違いないだろう。
食事しながら教えてくれた話では、ハルカさんは25歳の頃に元夫とセックスレスになって以来、全くしてないらしい。
今年で33歳だから約8年ぶりのセックスで、自分で煽っておきながらもいざ始まることになった途端、内心ではかなりビビってたそうだ。
でも俺が、がっつかずに時間を掛けて解す様に愛撫して本番でもじっくり責めたのが功を奏した様で、『セックスってこんなに気持ちよかったんだネ!フータローだからなの!?こんな凄いの絶対ハマるよ!』と肉体関係になった途端、俺を呼び捨てにし始めたハルカさんは、興奮気味に喜んでくれていた。
苦手意識とプレッシャーが強くあった分、気持ちよく出来たセックスへの喜びが倍増してたのだろう。
まぁ、元々ラブグッズ隠し持ってたくらいで性欲自体は普通にあった様だし、過去の相手が悪かっただけなんだろうな。
兎に角、喜んで貰えた様で何よりだ。
それに、事情があったとは言え、リカコさんに浮気されて男としてのプライドが傷ついていた俺だって、セックスが苦手だと言っていたハルカさんを自分のテクニックでここまで満足させることが出来たのは、十分にプライドを取り戻せたと思うし、ずっと惹き付けられていたにも関わらず触れることは無いと思ってたこの爆乳を思う存分揉みしだいて味わうことも出来て、久しぶりに味わう達成感や満足感で、離婚して無職で卑屈になってたのがウソみたいに、今は気持ちが高揚している。
こういう気分を『万感思いに迫る』とでも言うのだろうか。
ハルカさんは自分の為にプロポーズしてくれたんだろうけど、俺にとっても再び自信を取り戻し、前を向くチャンスをくれた様に思える。
だから、今度は打算ではなく自分の心に従って、大恩あるハルカさんの為にもう一度頑張ってみようと決意した。
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