#17 女性ばかりの料理教室
結婚してから約4カ月経ち、リリィが町田家の一員になってからひと月経った。
俺は主夫の生活にもすっかり慣れて、以前感じていた様な焦りや不安はだいぶ落ち着いていた。
多分、リリィの存在が大きい。
リリィが話し相手になってくれてるからだろう。
リカコさんの方は、相変わらず仕事が忙しそうだが、以前よりも夜は早く帰ってくるようになったし、出張の数は減ったし、出張しても日帰りで帰ってくることがほとんどで、週末もほぼ休めるようになっていた。
本人は「家でリリィが待ってると思うと、早く帰る為に仕事処理する時間が速くなるのよ」と言ってるけど、リリィと過ごす時間だけでなく俺との夫婦生活の回数も増えているので、一応俺とのことも考えてくれていると受け止めている。
リリィは成長が早く、ひと月で丸々としてきた。
プリプリしたお尻もつぶらな瞳も可愛くて、俺もリカコさんもリリィと居ると頬を緩ませて我が子の様に可愛がっている。
もうこの頃にはリカコさんにも甘えるようになって、特にリカコさんは家にいる時はいつも頬が緩みっぱなしで、常にご機嫌だ。
そして、リリィと散歩する為に、俺もリカコさんもジョギングシューズを購入した。
平日は毎日俺が散歩に連れ出し、土曜と日曜は今のところリカコさんが欠かさずリリィを散歩に連れ出している。
因みに土日は俺も一緒で、家族そろって散歩している。
リリィが来る前はリカコさんと二人で散歩なんてしたこと無かったので、お互い家事や仕事で忙しい中でもリリィのお蔭で夫婦らしい穏やかな時間が過ごせるようにもなっていた。
こんな風に家族みんな仲良く過ごしていると、結婚という選択をして良かったと改めて感じるようになっていた。
で、心身ともに余裕が出来てきたので、入籍当初から考えていた料理のスキルアップの為に料理教室に通うことにした。
リカコさんから紹介されていた乾さんという方のところなんだが、その乾さんは自宅で料理教室を開いてて、場所がウチから比較的近くて徒歩で20分程度だった。
普通なら面倒だから車かバスで行きたい距離だけど、リリィと毎日散歩しているお蔭か、20分程度なら散歩がてらに行ける距離だと思えたので、初めてアポ取った時に「ペットの犬を留守番させたくないんで、連れて行っても良いですか?」とダメ元で聞いてみたら、「ウチにもワンちゃん居るから、是非連れて来て下さい」と言って貰えたので、料理教室の日はついでにリリィの散歩もすることにした。
それで、乾さんからは「一度見学に来てみてはどうですか?」と言って貰えたので、「是非お願いします」と連絡とった翌日に早速訊ねてみることにした。
一応エプロンとリリィの散歩グッズ(便処理袋や足拭き用のウエットティッシュ等)を持って、寒さ対策もして予定よりも早めに出発し、リリィの速度に合わせてのんびり散歩しながら乾さんのお宅を訪ねた。
閑静な住宅街の中にある一軒家で、車用のガレージとお庭もある二階建てで、共働きで建てたお家なのかな?と思ったが、後で聞いたら乾さんはバツイチの独身で、確かに離婚する前に夫婦で建てた家らしいが、「浮気されて離婚しちゃったの」とケロっとした笑顔で教えてくれた。
下の名前はハルカさんといい、年齢は30歳で子供は居ないそうで、4年程前に離婚して、この家を慰謝料代わりに貰ったそうで、しばらくは会社勤めを続けていたそうだけど、一念発起して会社を辞めて料理教室を始めることを決意して、3年程前に自宅のキッチンとリビングを改装して料理教室を始めたそうだ。
リカコさんとは人を通じて知り合ったそうで、料理教室を始めるにあたり、同じ女性で若くして起業したリカコさんに色々相談してアドバイスなどを貰ってたそうで、俺にも「奥さんには本当にお世話になったんです。それで町田さんから『旦那が料理教室に興味あるみたい』って連絡貰って、私からも『是非ウチに来てください!』って言ってたんですよ」と、嬉しそうな笑顔で教えてくれた。
この日で会うのは2度目で、初めて会った俺達の結婚お披露目パーティーの時は挨拶して連絡先交換した程度で、印象としては「見た目が俺の好み」程度しか無かったけど、こうして色々話してみると、ニコニコと常に笑顔でフレンドリーで、見た目も性格もリカコさんとは真逆な穏やかでおっとりしてて、実年齢よりも若く見える可愛らしい人だった。
因みに俺の女性の好みは、リカコさんの様なキリリとした美人タイプでは無く、純和風のさっぱりした容姿で柔らかな家庭的な可愛らしい人がタイプで、そしておっぱい大きい女性が大好きなんだけど、リカコさんもおっぱい大きいけど、乾さんは服の上からでも分かるほどのリカコさん以上の爆乳の持ち主で、モロに俺の好みのタイプの女性だった。
とは言え、リカコさんとの夫婦生活には満足してるし、新婚早々下心など持つ程俺は女性に飢えてないし愚かでも無い。
ただ「こんな女性に料理を教えて貰えるのなら、これから料理教室に通うのが楽しくなりそうだな」と、純粋に楽しみにはしてる。
中学とか高校で、若くて綺麗な女性が担任になったりしたら「こんな綺麗な先生が担任なんて、1年間楽しくなりそうだな」って嬉しいでしょ?それと同じだね。
と、乾さんのことだけじゃなく、乾さんのお宅にはマリンちゃんというメスのゴールデンレトリバーが居て、メス同士でマリンちゃんが大人だからなのか、マリンちゃんに興味津々のリリィにマリンちゃんは甲斐甲斐しく相手してくれてて、俺と乾さんがお喋りしてる間に目を離してても安心できるくらいに犬同士も打ち解けて仲良くしてくれていた。
料理教室に関しては会員制で20名ほどの会員が居て、平日の昼食タイムに合わせて週5で教室を開催してて、毎回3~6名程度が参加してるらしく、会員のみなさんのほとんどは週に1~2回程度参加してるそうだ。
俺としては犬の散歩もついでにするので平日毎日でも良いけど、流石に予算的に厳しいので、火曜と木曜の週2で通うことにした。
それで、乾さんと色々お喋りしてると他の生徒さんが来て、準備を始めると言うので、リリィとマリンちゃんと一緒に大人しく隅の方で見学させて貰うことになった。
この日の生徒さんは4人で、みなさん30前後で俺よりも年上の女性ばかりだった。
メニューは、筑前煮、サバの味噌煮、タケノコと鶏肉の炊き込みご飯と和食メインの家庭料理で、生徒さんは手分けしてそれぞれ乾さんの説明を聞きながら調理してて、中にはメモを取りながら真剣な表情で取り組んでいる人も居て、結構ガチめな料理教室に見えた。
でも調理が全て終わり試食タイムになると、みなさんリラックスした様子になり、俺にも「町田さんも是非食べてください」と言って貰えて、一緒にテーブルに座って食べさせて貰ったけど、その時にはみなさん砕けた様子で賑やかにお喋りしながら試食した。
というか、乾さんを含めた5人全員から質問攻めにされた。
乾さんが言うには、料理教室の生徒さん20名全員女性だそうで、中には結婚前の20代前半も数名いるけど、ほとんどが30代の主婦で、俺の様な若い男性とこうしてお喋りする機会はあまり無いそうで、しかも新婚で仕事辞めて主夫っていうのも珍しいからなのか、みなさんからは「滅茶苦茶興味あるんですけど!」とあからさまな表情で喰いつきも凄かった。
「主夫になる前はドコにお勤めしてたの?」
「どっちからプロポーズしたの?」
「奥さんから主夫になってくれって言われたの?」
「お子さんの予定は?」
「ご実家からは反対されなかったの?」
「義実家とは上手くやれてるの?」
他にもアレやコレやと質問が続きタジタジになるほどで、俺が何か答える度にキャーキャーと黄色い声を出して楽しそうにみなさんはしゃいでてちょっぴり引いてしまったけど、「家で家事ばかりだったし、たまにはこんな刺激があってもいいかな」と、コレはコレで楽しそうだし良いかと思えた。
因みに、料理の方は当たり前だけど、凄く美味しかった。
和食は難しいっていうイメージあって、今まで家では洋食のが多かったけど、これからはココで色々覚えて「家でもリカコさんに美味しい和食料理を食べさせてあげたいな」と、本来の目的である料理のスキルアップへのやる気も新たにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます