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#15 ハーピー女王 VS エルフ

　パンダヒーローこと斎藤あやめは、深層でハーピーの群れを撃退したのが、なんとハーピー達の女王であるハーピークイーンが突如姿を現したのだった―。

『ギィエェェェェェ！！！！！』

　ハーピークイーンは怒りの雄叫びを上げた。

『デッカ！』

『これが深層のボスか！？』

『ハーピークイーン？』

『うっさ！』

『デカくね！？』

『強そう…』

『これヤバくね？』

『大丈夫なのか！？』

『あれ、パンダは？』

『おい、パンダは何やってんだ？』

　ハーピークイーンが現れたにも関わらず、あやめはまだ独り言を言いながら立っていた。

「パ、パンダヒーローさん！？ ヤバいですよ……何かやべぇハーピーの親玉が出て来ましたよ！？」

　―ブツブツブツブツ

「ちょ、聞いてますか！？ パンダヒーローさん！！！」

　あちゃ〜パンダちゃん完（・）全（・）に（・）自（・）分（・）の（・）世（・）界（・）に入っちゃってるよ……仕方ない、ここは私が何とかするしかないか！

　エルフは手に雷を溜め込んだ。

「…悪いけど、早々に退場してもらうよ！」

　―ドンッ！

　エルフはハーピークイーンに向かって雷を放った。

　―バリバリバリッ！

　雷が直撃したハーピークイーンは、空中で麻痺してしまった。

「よし、今がチャンス！」

　空高く跳躍したエルフは双剣を構え、そのままハーピークイーンへと叩き込んだ。

　―ギィーン

「むっ！？」

　エルフの攻撃を、なんとハーピークイーンは羽（・）で（・）防（・）い（・）だ（・）。

　羽はまるで鋼の様に硬く、エルフの双剣をそのまま弾き返した。

『ギィエェェェェェ！！！！！』

　ハーピークイーンの鋭い鉤爪がエルフを襲った。

「うわっ！？」

　間一髪で避けたエルフだったが、胸元に鉤爪がかすり服が少し切り裂かれてしまった。

「あー！ 私のお気に入りなのに！？ もう〜怒ったぞ！！！」

　エルフは双剣に雷を纏わせ、ハーピークイーンに連打の猛攻を仕掛けた。

　しかし、ハーピークイーンはエルフの猛攻に合わせ、自身の羽を無数に飛ばした。

　飛ばされた羽は、まるで一つ一つが弾丸の様に素早く威力も強烈なものだった。

「―くっ、意外と強力だなこの羽……これじゃあ本体へ近づけないよ〜」

　SSSランク探索者のエルフに対して、ハーピークイーンは互角の攻防を魅せていた。

「…あのエルフと互角にやり合ってる？ 何なんだあのハーピーは……」

　エルフとハーピークイーンの空中戦に、アンチの男は息を飲みながら眺めていた。

「―はっ！ こんな事してる場合じゃねぇ！ パンダヒーローさん、早く正気に戻ってください！ エルフさんが大変ですよ！？」

「―うぇ！？ あ、ちょ、調子に乗って無いですよわ、私！！！」

「な、何を言ってるんすか？ そ、それよりアレを見てくださいよ！」

「……へぇ？」

　アンチの男が指さす上空を見上げると、そこにはエルフと巨大なハーピーが凄まじい空中戦を繰り広げていた。

「―あれ、エルフさん？ そ、それにあの大きいハーピーは……？」

「あれはハーピークイーンです！ ハーピー達の親玉でこの深層のボスみたいですぜ！」

「…へぇー、ア（・）レ（・）がハーピーの女王で深層のボスなんだ……」

　エルフは無数に飛ばされる羽を双剣で全て受けきっていた。

　ハーピークイーンは余裕の笑みを浮かべながら、エルフとの距離を取りながら攻撃を続けていた。

「もー！ これじゃあいつまで経っても埒（ラチ）が明かないよ〜」

　永遠に飛ばされ続けるハーピークイーンの羽にエルフは苦戦を強いられていた。

　―こうなったら、多少傷ついてでもこの羽の中を突っ込むしかないか……よし、やろう！

　エルフが覚悟を決めた時だった……。

『キッシシシシ……グェッ！？』

「……え？」

　なんとハーピークイーンの胸には、剣が貫通していた。

　そして、ハーピークイーンはそのまま地面へと落下してしまった……。

「え、まさかあの剣って―」

　エルフが下を見ると、そこには剣を投げ飛ばしたであろう構えをしたパンダヒーローの姿があった。

　その横には唖然と口を開けたまま、パンダヒーローを見つめるアンチの男の姿も見えた。

「……あっ、命（・）中（・）し（・）ち（・）ゃ（・）っ（・）た（・）？」

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　あとがき。

　最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます！

【次回】久しぶりのひとりダンジョン！しかし、何やらモンスターの様子が……？

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