#13 ヒーローは絶対誰も見捨てない
私パンダヒーローこと斎藤あやめは、なんと深層でハーピー達に襲われているアンチを見つけてしまいました―。
「う、うわぁぁぁぁぁ!!!」
パンダヒーローのアンチの男は、おびただしい数のハーピー達に取り囲まれていた。
男は腰が抜けて、逃げ出す事も出来ないで居た。
「ちょ、ちょっとあの人ってさっきのパンダちゃんのアンチだよね!? それに、あの人のランクで深層に入ったらダメでしょ!」
―ダンジョンには、ダンジョン協会が定めたルールが存在する。
その中のひとつに、それぞれのエリアには相応のランクの探索者でないと立ち入りを禁止するものがある。
この深層の場合はSランク以上の探索者、もしくはSランク以上の探索者と同行でなければ深層へは入れない。
明らかにAランクにも満たないアンチの男は、単独で深層へと入った時点で違反者なのだ―。
「たまにいるんだよね……つい調子に乗って深層に入っちゃう探索者って。それで結局あぁいう目に合っちゃうんだけどさ……」
その様子を、あやめのカメラはしっかりと捉えていた。
『さっきのアンチじゃね?』
『だっさw』
『マジざまぁw』
『ざまぁwwww』
『いい気味だわ』
『自業自得』
『はい、ざまぁw』
『ざまぁw』
『転生して人生やり直せ』
『ハーピーに喰われろ』
あやめのリスナー達は、パンダヒーローのアンチが襲われているのを見て楽しんでいた。
しかし、あやめは内心複雑な心境だった。
たしかにあの人は私のアンチだ……。
皆があの人に対して怒ったり、ざまぁと言ってるのも分からない事もない。
だって、それは皆がきっと私の事を思ってくれてるから、アンチに対して当たりが強いんだ。
あの人もルールを破って深層に入ったんだ……ここでハーピー達に殺られても、誰にも文句は言えないし自業自得として処理されて終わるんだろうな……だけど―。
あやめは気がつけば、アンチの男を囲んで居るハーピーの群れへと走っていた。
「え、ちょ、パンダちゃん!?」
ハーピー達はあやめの存在に気づき、一斉にアンチの男からあやめへと視線を変えた。
「―フンッ!」
あやめの剣から放たれた斬撃がハーピー達の群れを襲った。
斬撃を受けた数体のハーピー達は一瞬で消滅してしまった。
あやめの攻撃に対して、ハーピー達が一斉に襲いかかる。
そしてあやめは、
―無限回転斬り
まさに竜巻。
回転によって引き起こされた斬撃の渦は、ハーピー達を次々と飲み込んでいき消滅させる。
そして、あやめは腰を抜かして震えるアンチの男の前へと立った。
「お、お前……ど、どうして!?」
アンチの男の問いに、あやめは振り返り答えた。
「…わ、私は、パンダヒーローだから。ヒーローは絶対
★☆★☆
あやめの攻撃により、ほとんどのハーピー達は消滅したのだが、天井から続々と別のハーピー達が現れていた。
あやめはアンチの男を守る様に、前に立ち剣を構えた。
『おい、何で助ける』
『アンチだぞ?』
『ほっとけよ』
『そうだよ! アンチなんか』
『アンチなんか見捨てろ』
『アンチなんて助ける価値無し』
『見捨てろパンダ!』
『さっさと見捨てろ!』
『早く見捨てろ!』
『アンチなんて4んで当然だろ』
―違うよ。
あやめは剣を強く握り締めた。
「た、たしかにこの人は私のアンチだし、ルールも破ったし、ほ、本当なら私が助ける道理なんて無いのかもしれない……」
「…パンダちゃん」
エルフは心配そうな眼差しであやめを見ていた。
「で、でも……だからって、
更に数を増やしたハーピーの群れが、あやめの目の前に迫って来ていた。
「それに……例えアンチだとしても、この世に
はあぁぁぁぁぁ!!!
あやめは珍しく声を上げ、ハーピーの群れへと突っ込んだ。
「やっぱりパンダちゃんは
エルフは何やら嬉しそうに、あやめへと加勢した―。
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】深層ボスが登場!?
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