#12 籠の中のハーピー



 私パンダヒーローこと斎藤あやめは、アンチと出くわした後、深層へと入りました―。



「わぁ〜ここの深層は神殿なんだ……」



 あやめ達の目の前には、いつもの深層とは雰囲気の違う、幻想的な建築の巨大な神殿が姿を現していた。



「わ、私、神殿の深層なんてはじめてですよ!」


「神殿の深層って、なかなか珍しいよね!私もまだ数回しか見た事ないよ〜」



 二人は神殿の風景に見とれつつ、慎重に歩を進めた。


 神殿はとても静かで、モンスターの気配や鳴き声はまるで感じられなかった。



「…ねぇ、ちょっと静か過ぎない? 私なんかがするんだけど」


「え、い、嫌な予感ですか? お、驚かさないで下さいよエルフさん……」



 ―キエェェェェェ!!!



 突如、甲高い叫び声の様な音が響いた。



「見て! 上から来るよ!」



 上を見上げると、なんとが三体こちらに向かって急降下して来た。


 ハーピーは女性の顔と体だが、両手が翼、足は鳥の鋭い鉤爪となっており、人間の肉を好む肉食系だ。


 鋭い牙と爪の攻撃を受ければ、人間の肉など一瞬で切り裂かれてしまう。



『ハーピーか?』

『ハーピーじゃん!』

『ハーピーだ!』

『ハーピーエッロ』

『ハーピー三姉妹か!?』



 エルフは両手の双剣を構え、あやめも剣を構えた。



「よ〜し、こっちに近づいたタイミングでカウンター狙いだ!」



 ―ブンッ!



 エルフはハーピーの攻撃と合わせてカウンターを狙った。


 しかしハーピー達は、余裕の笑みを見せながら攻撃をかわした。



「え、避けられた? 意外とすばしっこいなぁ〜」



 エルフの攻撃を避けたハーピー達は、そのまま二人へと襲いかかった。



「もう、近寄らないでよ……ねっ!」



 エルフの放った雷が、一体のハーピーへ直撃し消滅させた。



「ふんっ」



 ―ズバッ!



 あやめの一振も、一体のハーピーの首を飛ばし、見事に消滅させた。



「流石だね、パンダちゃん!」


「い、いや……そ、それほどでも〜」



 三体の内二体が殺られてしまい、残りのハーピーは上空でこちらの様子を伺っていた。



「…まだ一体残ってるね。様子見でもしてるのかな?」



 すると、ハーピーはそのまま飛び立ち逃げてしまった。



「あれ、逃げた?」


「で、でも、ハーピーなんて、珍しいですよね。わ、私はじめて見ましたよ」


「私もだよ〜。海外のダンジョンではけっこう居るらしいんだけどね! それにハーピー達は群れで行動するみたいだよ」



 …じゃあ、多分今のは偵察隊? この神殿はおそらくハーピー達のなのかな……。



 もし、この神殿全体がハーピーの巣だとしたら、自分達は既に


 今のハーピー達との戦闘で、おそらく他のハーピー達にも既に気づかれてしまっているだろう。


 一体どれ程のハーピー達の数がいるのか。


 二人はよりいっそう警戒を強めた―。



「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」



 突如ダンジョン内で悲鳴が響いた。

 声からして、おそらく他の探索者達だろう。



「い、今の悲鳴は……」


「…どうやら他の探索者達みたいだね」


「し、神殿の奥の方からだ……い、行ってみましょう!」



 二人はダッシュで神殿の奥へと走った。


 すると、目の前にドーム型の天井をした大広間へと辿り着いた。


 そして、広間の中央でおびただしい数のハーピー達に取り囲まれている探索者を見つけた。



「あれ、あの人って……まさか」



 なんと襲われていた探索者は、パンダヒーローのの男だった―。




 —————————

 あとがき。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


【次回】襲われるアンチを目の前にあやめは一体どうする!?


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