#11 アンチからのうえぇぇぇぇぇー!?



 私パンダヒーローこと斎藤あやめは、なんとアンチと遭遇してしまいました―。



「おい、インチキパンダ。今日もエルフの配信で売名かよ?」



 探索者の男はニヤニヤしながら、あやめに絡んで来た。



「ちょっと! パンダちゃんの何処がインチキなのよ! それに、誘ったのは私なんだから売名じゃありません!」


「あん? でも、実際売名は成功してるじゃねーか。それに、この前の深層のボスだって、エルフが弱らせた所をいいとこ取りしただけだって皆言ってるぜ?」



 ど、どうしよう……と出会うのは初めてだから、どう反応していいのか分からない……。


 あやめは、ネットでのアンチの書き込みは何度か経験していたが、実際目の前でアンチと遭遇した経験は無かったのだ。



「おい、さっきから黙り込みやがって、無視してんじゃねーぞ!」


「もう! パンダちゃんに絡むのは止めなよ! パンダちゃん、あんなの無視して行こ!」


「は、はい……」



 エルフがあやめの手を引っ張り、先に進もうとした時だった。



 ─ガシッ!



 なんと、アンチの男があやめの腕を掴んで来たのだ。



 うえぇぇぇぇぇ……!?



「誰が行って言いつったよ。調子乗ってんじゃねーぞコラ?」



 アンチの握る手が強くなる。


 しかし、あやめは全く微動だにもしなかった。



 …アレ? 俺かなり強くこいつの腕を握ってるよな? なんでこいつ全く微動だにしねぇんだよ?


 ど、どどどどうしよう!?

 こういう時は、エルフさんの言う通り無視したままでいいんだよね!?

 で、でも腕を捕まれたままだと先に進めないし……と、とりあえず、この手は離してもらわないと─。



 あやめは、アンチの男の手を払った。



 ─ボキッ!



「うおぉぉぉぉぉ!? お、俺のて、手首があぁぁぁぁ!!!」



 なんと、アンチの男の手首はしまった。



 うえぇぇぇぇぇー!?

 そ、そんな! 私、軽く手を払っただけなのにぃぃぃぃぃ……!?



 アンチの男は、あまりの激痛にその場にうずくまってしまった。



「ちょ、パンダちゃん!? 一体どうしたの?」


「そ、それが私があの人に腕を掴まれたから、その……手を払ったら、な、なんか折れちゃったみたいで!?」



 …え、軽く払ったら手首が折れちゃったですって……?



 エルフは急いでアンチの男の手首を確認した。



 うわっ! 本当に見事に折れちゃってるよこりゃあ!?

 やっぱりパンダちゃんって、自分の強さになんだな…本人が軽くても常人相手だと凄い威力なんだろうなぁきっと……。



 エルフはアンチの男の手首に回復魔法をかけ、あっという間に治癒した。



「あっ、お、俺の手首が……」


「これに懲りたらもうパンダちゃんに絡まない事ね! わかった!?」


「く、クソ! 覚えてやがれ……」



 アンチの男はそのまま立ち去って行った。



「パンダちゃん大丈夫? あぁ言うアンチは気にしなくていいからね! 私もたま〜に、生のアンチと遭遇する事あるから」


「は、はい。あ、ありがとうございました……」


「じゃ、気を取り直して深層へ入ろうか! 配信も気合い入れないとだしね!」



 二人は気を取り直して深層へと降りて行った─。




 —————————

 あとがき。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


【次回】深層の雰囲気が何やら変で?


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