#10 ぐへへ……からのアンチ
私パンダヒーローこと斎藤あやめは、なんと企業案件で新しい武器を頂く事になりました―。
企業案件から翌日─。
あやめとエルフは、早速約束していたダンジョンへと潜り込んでいた。
あやめの手には、光輝く白い剣─白竜の剣があった。
─ズバッ!
「す、凄い……白竜の剣めちゃくちゃか、かっこいい!!!」
手に持った白竜の剣は、今までの剣とは明らかに存在感が違っていた。
ずっとお父さんから貰ったお古の剣を使ってたけど……うん、やっぱり全然違う! オーラが違い過ぎる!!!
あやめとエルフが企業案件で受け取った武器に使われている素材は、どちらも希少な物だった。
『白竜』に『麒麟』
伝説の幻獣と呼ばれるその二匹は、ダンジョンの深層でも滅多にその姿を見せる事がなく、また運良く出会えたとしても即座に逃げなければならない程の危険なモンスターだった。
二人に企業案件を依頼した企業は、日本でもトップクラスの探索者専門の武器の販売メーカーだった。
たまたま企業の探索者が、白竜の牙と麒麟の角の素材をダンジョンから持ち帰る事ができ、企業専属の鍛冶師達の手により剣と双剣として製造された。
おそらく普通に販売すれば、数千万は下らない品物だろう。
しかし、企業はこの貴重な武器を二人のSSSランク探索者へと無償で提供する事を決断したのだ。
「この二つの武器は、その持ち主として相応しいあなた達にこそ使ってもらうべきだと企業で声が上がったのよ。あなた達の動画を観て、みんな納得の上でね!」
当然、あなた達が我が社の武器でどんどん活躍してくれれば、いい宣伝効果にもなるしね!─と、西田さんは最後笑っていたけど。
「ぐへへ……白竜の剣、凄く良い……」
あやめは剣に頬を擦り寄せていた。
「お、パンダちゃんも調子良いみたいだね!」
麒麟の双剣を両手に持ったエルフも、順調にモンスターを倒していた。
「この双剣凄く私に馴染むんだよね〜私、今まで魔法だけで戦って来たけど、麒麟の角で出来てるから武器にも雷を纏わせる事が出来るし最高だよ!」
「わ、私もこの剣凄く馴染んでて、下層のモンスター達がまるで豆腐みたいに斬れてて……ぐへへ」
「…それはその剣とは無関係だと私は思うんだけどなぁ……」
「そ、それにね? 今朝この白竜の剣の写真をアップしただけで5000件以上のリツイートといいねされたんですよー!」
「へぇー! それは、凄いね!」
「こ、これならもうダンジョン配信しなくても写真の投稿だけで全て解決するのではと思ってまして……」
「それはダメでしょ! 西田さんもちゃんと配信で使用してくださいって言ってたでしょパンダちゃん!」
二人は黙々と下層を進んでいた。
…今更だけど、パンダちゃんと一緒に組んでから私ダンジョンの下層まで進むスピード早くなってない?
もちろん今日はこの双剣のおかげってのもあるけど、今までこんな短時間で来れた事ないもんなぁ─。
エルフは前を歩くあやめを見つめた。
この前のダンジョンの深層での出来事を思い返していた。
深層のボスのドラゴンの首を一撃。
しかも、あの時の剣って確かお父さんから貰ったお古って言ってたやつだよね?
やっぱり、パンダちゃんって自分では気づいてないけどもしかして……。
「あれ? もしかして、パンダヒーローじゃね?」
「え?」
二人が振り替えると、そこにはひとりの探索者の男が居た。
「やっぱりそうだ! お前、あのインチキパンダだろ!?」
……誰、この人?
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】アンチと初対面したあやめの運命は!?
少しでも「主人公が可愛い!」「応援したい!」「面白い!」と思った方は、フォロー、★評価、レビューをして頂けますと作者の励みになりますので何卒。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます