#6 陰キャが調子に乗ってすみませんでした……



 私パンダヒーローこと斎藤あやめは、人気探索者の稲妻エルフと出会い、なんとパーティーを組むことになってしまいました―。



 ど、どどど、どうしよう……。

 どうしてこんな事になってしまったのだ─!?



『新パーティーキター!!!』

『いきなりマジか』

『この展開を誰が予想出来たであろう』

『めっちゃ面白くなりそう!』

『稲妻エルフって確か配信大手じゃね?』



 え、大手だって……?



 私は急に気になってしまった。

 同じSSSランク探索者の稲妻エルフのフォロワー、そしてチャンネル登録者数が。


 今の私のアカウントのフォロワーは4万人。チャンネル登録者数は1万人越えで、ライブ視聴者数は4000人に到達した所だった。



 これは決して悪い数字ではないはずだ……。

 今の私ならも、もしかして、人気探索者の稲妻エルフに引けを取らないかも―?



「あ、あの……稲妻エルフさんはフォロワーとかチャンネル登録者数はど、どれくらいなんですか?」


「エルフでいいよ! んーフォロワーは今は40くらいかな?チャンネル登録者数は、今80だよ」



 エルフが見せたスマホには、視聴者数18000の文字が映っていた。



 ―フォロワー40万人…登録者数80万人…視聴者数1万8000人……!?



 あやめはその場へ膝から崩れ落ちた。



「ど、どうしたのパンダちゃん!?」



 …陰キャが調子に乗ってしまってすみませんでした……。




 ★☆★☆




 二人は深層の入り口へと辿り着いた。



「よし、じゃあ早速深層に入りますか! いつも通りで大丈夫だから緊張しないでね!」


「あっ、は、はい……」



 なんだろう……いつもは深層でも全然緊張しないのに心臓がバクバクする……。



『いよいよ深層か』

『なんかパンダ元気なくね?』

『もしかしてプルってる?』

『なんか草』

『エルフの圧にヤラれたか?』



「…どうしたの? なんか元気ないけどパンダちゃん大丈夫?」


「あっ、はい……だ、大丈夫です」


「もう〜もっと元気出して行こうよ! ほら、私の視聴者もパンダちゃんの事応援してるよ!」



『パンダヒーローだー!!!』

『パンダちゃん可愛い!』

『こんにちは』

『SSS探索者が二人も!』

『はじめまして!』

『v』

『よろ〜』

『パンダのお面ウケるw』

『ノ』

『応援してるぞ!』



 す、凄い……みんなのコメントがすごく温かい……こんな陰キャな私でも、応援してくれてるの?

 やっぱり、視聴者の層とかも全然違うのかな? みんな優しいコメントばかりだ……。


 まぁエルフさん可愛いし、陽キャで明るくて人気探索者だもんねぇ……。


 でも、これが本当の人気SSSランク探索者との差かぁ。

 やっぱり私なんて、まだまだだよね……。



「よし、じゃあパンダちゃんもカメラ持ってこっち来て! 深層の入り口で二人で一緒に並んで配信するよ!」



 そう言ってエルフはあやめの手を引っ張った。


 ─あっ、まだ心の準備がぁ……。



「はーい! みんな、これからパンダヒーローことパンダちゃんとこの稲妻エルフが一緒に深層攻略するよー!」



 カメラ越しにイケイケでポーズをとる稲妻エルフ。

 対して、パンダのお面を着け呆然と立つパンダヒーロー。


 かくして、二人のSSSランク探索者の深層攻略がスタートした。



「あれ、パンダちゃんの顔なんか死んでない?」



 ─何故お面越しで分かったんだ……?




 ★☆★☆




 ―深層。


 ダンジョンのもっとも深いエリア層であり、同時にもっとも危険な場所。


 生息するモンスターのレベルも一体一体がとても高く、一匹のモンスターが探索者の一団を全滅させた事例もある。



「へぇー、パンダちゃんは普段深層もひとりで攻略してるんだ!」


「は、はい。私、一緒に探索する知り合いとか友達とかいないから……」


「なるほどね。私はいつもはが居るんだけど、今ちょっと海外へ行ってるんだよね〜だから、パンダちゃんに会えてほんと心強いよ!」


「そ、そうですか? わ、私なんかまだまだだし……」



 すると突如モンスターが目の前に現れた。


 しかもそのモンスターはなんと、この深層エリアのボスであるだった。



「―あっ」

「─あっ」



『あ』

『あ』

『あ』

『あ』

『あ』

『w』

『え』

『は?』

『マジか』

『詰んだな』



 ……早くお家に帰りたい─。



 —————————

 あとがき。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


【次回】深層ボスのドラゴンと対決!


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