第6話 愛の告白イベントを食らったので、校舎裏にいってくる

「ミノルと来たんだよ。ここなら涼しいし暇も潰せるってさ」

「まぁ、あんな小屋で野宿なんて無理だもんね」

「ミノルどこ?」というハルを案内する。案の定、ミノルもハルがいるのを珍しがった。

「あー、カタログ見に来たんだ……。ハルちゃんらしい」

「お小遣いも少ないから、なんとか型落ちパーツでやりくりだよぉ」

「ちょっお前、さらっと俺の席に座んなよ。あとそのバッグにタイヨウ入ってんだからな」

「おー了解、気をつけとくね。あたしがずっと預かっといてもいいんだけど」

「俺の端末に繋げてんだから俺のだよバカ」

近くに持ってこれるような椅子もないので、とりあえずその場に立ちながらミノルとハルの会話に混ざる。中古パーツの構成なら任せろってもんよ。こちとら金欠だからな。

「ハルのSBSって“ヨザクラ”だっけ? 機動力重視の」

「そうです」

「だったらこれとか良さそうだけどな。もとが軽いし小回りも効く」

「あー、これ僕も検討してたな。型番だけチェックしとこ……」

ときどきスマートフォンのカメラ機能で型番を保存しながら、良さげなパーツに目星をつけていく。軽く話せばすぐに一時間は過ぎてしまうもので──俺の横や後ろを通っていく人が視線をよこしてくるのがよく分かった。何気に三人もいればうるさいからな!

「あー、喉が乾いた……。水ちょっと飲んでくるわ」

「はぁーい」

何気に一時間近く立ちっぱ床に座りっぱはキツイぞ……?

老人よろしく膝と腰を撫でながら、ウォーターサーバーのある場所まで向かう。有料でコーヒーとかも飲めるし、本当によく環境が揃ってるよな、ここ。学校さまさまだ。感謝。

「っし……。……ん?」

紙コップの水を飲みながら気付く。何気なく手を入れたズボンの後ろポケットに、そっと何かが挟まっていた。小さな紙切れだが……小綺麗な字で一言だけ書いてある。

『プール沿いの校舎裏にいる 金城レイナ』

……誰だ金城って? そんなやつ俺のクラスにいたっけ。ワンチャン隣のクラスとかにはいるかもしれないが、俺を呼び出す理由も分からない。そもそも接点ないし。というかこれを入れられたってことは、向こうは俺の顔を分かってるってことかよ……。なんか嫌だ。

どうしたものかと悩みながら、ひとまず戻ってハルに相談する。

「おい委員長。金城レイナってやつ同じ学年にいるか?」

「んー? 知らないなぁ」

「ミノルは?」

「いや、僕も知らない。なんで?」

「校舎裏に呼び出し食らったんだよ。メモ書きで」

「あれね、乙女の基本。告白イベント」

「ハルちゃん、それは絶対に違うってば」

微妙にオタク気質が出ている引きこもりをミノルが一蹴する。ケラケラと笑っている──ように思ったけれど、続けて俺に向けた言葉を聞く限り、どうやら冗談ではないらしい。

「メテオ、それ怪しいよ。また狙われてるんじゃないの?」

「は?」

「……へっ?」

「だって一昨日、知らない二人組に決闘を申し込まれたんでしょ? 今回もまた知らない相手ってことは、同じことになる可能性もあるしさ。もしかしたら仲間かもしれない」

「……狙いは?」

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