第五章 芸能界の闇と黒真珠たち
第96話 据え膳デートの実況!【如月side】
「あの子には……気をつけなさい」
マネージャーを務めている、若い女。
驚いた
「え? それって、どういう――」
けれど、水口はすぐに離れる。
取り残された『まどか』は戸惑いつつも、警告された相手、スターらしい輝きの『
分からないでしょう。
この娘では……。
皆さま、ごきげんよう!
霊体化したままで、『まどか』に張りついています。
過去にない愉悦と聞き、今から楽しみです!
『ゆい』の危険性は、ひとまず置いておきますね?
では、
カメラさん?
――デート当日
はい!
薄い茶色の瞳と、バストまでの長い茶髪。
可愛い系の『川奈野まどか』が、オシャレな服装で待っています。
自分が所属している芸能プロの社長から、必ず誘いに乗れと厳命されているから、気が気ではないようで……。
この時点で、日向ぼっこと同じ、緩やかな愉悦。
上下のインナーをどうするのか? で、半日ぐらい悩んでいましたね。
最終的に、数万円で買っていました。
仕事用だから、これも経費!?
そのわりに、ゴムを持参していませんが……。
さっと出す処女というのも、それはそれで、アレですけど。
悠月史堂が、高級車で到着。
周囲の注目を集めつつ、2人は後部座席へ……。
私は霊体化していますから、車内で同行。
史堂がリード。
「可愛い服だね! 流行りなの?」
「は、はいっ! これは――」
高級車は、まだ目的地を決めていないようで。
都内を周回するルート。
「そろそろ、どこかへ行こうか?」
「ははは、はいっ! 今日は、大丈夫です! どこのホテルですか? ……あ」
緊張のあまり、初手でホテルに誘ってしまいました。
これでは、欲しがりのドスケベというだけ。
気がついた『まどか』は真っ赤になるも、据え膳のあなたには、言い訳も許されません。
「あのっ! これは違……わなくて。えっと!」
案の定、大パニックです。
けれど、史堂は自分のスマホを見た。
「ああ……。――のホテルで、人気スイーツもあるバイキングをやっていたっけ! それ?」
頭が取れそうなぐらい、ブンブンと縦に振る『まどか』。
「は、はいっ! それです、それ!!」
――ホテル
フロントもある、広い空間。
慣れた様子で歩いていく、悠月史堂。
その横に、川奈野まどか。
高層までの直通エレベーターを待っていたら――
「政策会長は、上でお待ちです」
「分かっている!」
男たちの声が、近づいてきた。
『まどか』が振り向けば、いかにも偉そうな、スーツを着た数人。
そのうちの1人が、当たり前のように、言ってくる。
「君たち、
史堂が振り向いた。
ボディーガードか下働きっぽい男は、強引に押しのける勢いだ。
「君たちは、次のエレベーターで――」
「悠月くん! 久しぶりだね!」
当の政治家が、明るい声を上げた。
唖然とする周囲に構わず、先生は自己紹介をする。
「ほら、先月のパーティーで会った――」
「
笑った本人が、否定する。
「君は、私の息子のようなものだよ! 気軽に呼んでくれ!」
チ――ンッ!
音を立てて、エレベーターが開いた。
史堂が『まどか』と腕を組み、場所を譲った。
「使ってください! 急ぎでしょう? 俺たち、お茶をしてから上へ行くんで」
三浦は、史堂を退けようとした男を見て、すぐに視線を戻す。
「そ、そうかね? では、お言葉に甘えて……」
「申し訳ございません!」
2人を排除しようとした男が、前屈する勢いで頭を下げた。
史堂は、すぐに許す。
「いいから……。気にしていないよ」
「ありがとうございます!」
箱の中に乗った三浦も、会釈。
「本当に、すまなかったね……。別の場で会えることを楽しみにしているよ」
「俺もです」
左右から閉まっていき、中が見えなくなった。
上の光が、どんどん動く。
ため息を吐いた史堂が、気遣う。
「悪いね? 嫌な思いをさせて……。食べたい物とかあったら、奢るよ」
「あ、ありがとうございます……。さっきの人、テレビでも見たような?」
『まどか』の疑問に、史堂はあっさりと答える。
「今は……与党の幹部長だったかな? とにかく、偉い人だよ」
「ひえっ……」
目を白黒させる、まどか。
財閥のトップで、そこの御曹司なら、当然ですけどね?
その突っ込みは、彼女に届かず。
ただ……。
彼女が史堂と結ばれても、こういった世界です。
ガラスの靴を履いた少女は、いずれ現実と向き合う定め。
良くも悪くも、普通ですね。
この娘は……。
今の任務は、『まどか』の護衛と監視。
あちらの排除は……止めておきましょう。
そこまでの義理もなく、下手に離れるほうが危険ですから。
私は、ホテルのロビーにいた数人から目を離した。
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