第95話 紫苑学園の通信制クラスにて……
はた迷惑な推し活をしていた、アイドルオタの女子AIコクリコは、カペラのコピーAIであるツヴァイに下った。
本命の敵、『ダンスマウス・インダストリー』とマヴロス芸能プロを叩くまでは、同じ行動をさせる。
これをもって、
真新しい制服に身を包んだ彼女たちは、懐かしい正門を通りすぎ、
「また、ここへ来るとは……」
高等部1年になったカレナは万感の思いを込めて、
「そうだね……」
同行した
バラバラに着席した後で、授業のスタート。
――放課後
「また会うとはな?」
戸惑い気味に声をかけてきたのは、
前回にこっぴどく拒絶されたことで、様子見。
いっぽう、カレナは、あっさりと応じる。
「お久しぶりです……。同窓生として、よろしくお願いいたします。こちらは、私の友人です」
「槇島皐月です……。よろしく」
「悠月史堂だ。よろしく!」
最小限の自己紹介に、史堂も手短に応じたのみ。
遊びやお店の話し合いに誘える雰囲気ではなく、早々に別れを告げた史堂が背を向けたら――
「史堂? あなたには婚約者がいますか?」
思わぬ発言で、彼はびっくりしながら、振り向いた。
「いきなり、何だ? ……候補はいるけど、まだ決まっていない! 高校1年生だからな……。お前らが立候補するわけでも……ないだろ? ジョークだよ! 睨まないでくれ」
うんざりした顔の史堂が、返答。
カレナは、しれっと告げる。
「私たちは、立候補せず……。あなたに、女難の相が出ていますよ?」
「勘弁してくれ……。そういえば、何て呼べばいいんだ?」
「名前の呼び捨てで」
「ボクも」
2人の返答に、史堂は
「カレナはどうして、教えてくれたんだ?」
「最初で最後の義理……。あなたにつくわけではありません」
ため息を吐いた史堂は、片手を振った。
「OK! ありがとな……。色々と言われているが、うちのパーティーとか来る気はないだろ? 皐月もだ」
「はい。お気持ちだけ、いただきます」
「ごめんね?」
ノータイムの返事に、史堂は降参した。
「はいはい……。親には、そう伝えておくよ! じゃ、またな」
「さようなら」
「またね!」
コツコツと、史堂が立ち去った。
教室に残された2人は、ガランとした教室で窓際へ。
それぞれ、近くの机に腰掛ける。
「また……ですか」
「
切なくなった皐月は、独白する。
「ボクも睦月のことを言えないや……。カレナはこの山が終わったら、どうするの?」
「とりあえず、睦月たちがいる地元へ帰りますが……。そうですね……。いっそのこと、重遠が生まれ変わるまで、この世界を守護しながら眠りにつくかも」
冗談めかした言い方だが、皐月は真剣な声音に。
「前みたいな自暴自棄は、止めてよ? ただでさえ、睦月を見守っていて、大変なんだから!」
「ご心配をおかけしました……。今度は大丈夫ですよ」
部活動の音が、上下左右から聞こえてくる。
「もうすぐ……敵が仕掛けてきます。重遠がいない鬱憤晴らしができる、最後のチャンスでしょう」
カレナの発言に、皐月は息を吐いた。
「うん……。いいよ! ネオ・ポールスターを沈めよう! 『邪神の復活』という話なら、是非もない」
なお、警察の立場は考えないものとする。
ドドドド
内廊下で響く、無数の足音。
そちらを向いた2人の視界に飛び込んできたのは――
大勢の女子だった。
「カレナ様!」
「本物だあああっ!」
「連れていけー!」
ゾンビ映画のように確保され、お神輿で運ばれるカレナ。
「私たちは、オカルト部です! 伝説のカレナ様とお会いできて、光栄に存じます!」
「いや、ちょっと――」
「お連れしなさい!」
「じゃあ、ボクは先に……関係ないから!」
1人だけ逃げようとジリジリ後ずさっていた皐月も、捕まった。
「わあああっ!?」
大勢の女子の手で、運ばれていく2人。
霊体化すれば、逃げられるだろうに。
それも、考えられない状態だ。
部室に引きずり込まれたカレナは、目がキラキラの女子に囲まれ、質問攻め。
その隣には、呆然としたままの皐月。
よく考えれば、
「ボ、ボクの尖った部分をぎゅーっと、ねじるように引っ張られ――」
「「「それで!?」」」
涙目の皐月は入会の儀式として、自分の初体験を詳しく話すという羞恥プレイをさせられた。
見捨てようとしたことで、カレナは助けず。
ともあれ、正体不明のストーカーは、分からせた。
敵も動き出す。
重遠が不在のまま、最後の決戦の火ぶたが切られる!
今度は、男女の三角関係とバトルだ♪
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