第69話 死亡フラグは何度でも蘇るさ!
「な――」
「ああ、ツマミがないですね! ……注文しますか?」
普段通りの声を聞き、
深呼吸を繰り返した後で、隣の
(あんたらが、やったのか!?)
首を横に振った良盛は、
(正確には……分かりません。ただ、あまりにタイミングが良すぎます)
そして、普通のボリュームに。
「すいませーん! この『串カツ盛り合わせ』と……天ぷらセット。冷酒も! 萩原さんは?」
「あ、ああ……。ウイスキーの割りで……」
端末を触っていた店員は、愛想よく応じる。
「はーい! 少々、お待ちください!」
苛立たしげに串カツや天ぷらを
「俺に知らせた理由は?」
「巻き込まれたから……。私たちの予想が当たっていれば、厄介な連中に
眉をひそめた一吾郎は、ジッと良盛を見た。
息を吐いた良盛が、付け加える。
「これ以上は、後戻りできません……。
「あんたと飲んでいたら、もうダメだろ? 場所を変えよう」
――
萩原一吾郎はタクシーで、
家族にそれっぽい説明をした一吾郎は、菅原良盛が手配した車の後部座席に乗り換え、ここまで辿り着いた。
石段を上り、神社を管理している
同じ敷地内にある、
良盛は、スッと頭を下げた。
「お邪魔します」
「……今回だけだよ? 布団は来客用があるから、使って」
槇島
気まずい一吾郎は、内廊下で
「お、おやすみ」
「うん。じゃあね……」
睦月は不機嫌だが、前の張り詰めた感じではない。
片手を振りつつ、通り過ぎた。
ガチャッ バタン
玄関ドアが、閉められた。
「では、萩原さん? 部屋へ移動しましょう」
和室で、畳の上に座った2人。
どこかで購入した飲み物とツマミを広げた良盛が、仕草で勧めつつも、口火を切る。
「今晩だけ、泊まる許可を得ました。槇島さんの自宅ゆえ、トイレと洗面所ぐらいの使用に留めましょう! 理由は、盗聴される心配がないからです」
コーヒーの缶を開けた一吾郎は、首肯しつつ、本音で喋る。
「駐在所には、俺の家族がいるからな……。それで、片桐さんが殺されたという根拠は?」
「最初に……これを見てください」
差し出されたスマホには、交通事故のニュース。
「これは、判断できないな……。殺された可能性もあるか……。誰に?」
真顔になった一吾郎が、尋ねた。
良盛は、お茶のペットボトルを飲んだ後に、答える。
「暗殺された場合は、警察内部の……
首を
「警察から離脱するための駆け引きで、桜技流は退魔の仕事をやらず、その期間で多くの警察官が犠牲になりました。……
その言い方は、冗談を言っているように思えず。
激怒しかけた一吾郎は、酒の缶を手に取り、開けた。
良盛が、話を続ける。
「現場で犠牲になった警官の関係者は、桜技流を恨んでいます。……あなたはもう、調査済みですよ? いきなり紛争地帯のど真ん中に放り出されたから、話しています」
グイッと飲んだ一吾郎は、改めて問う。
「俺は、こんな田舎の巡査長だぜ? 狙われる理由は――」
「祭りの2日間で、片桐さんと一緒にいた……。それだけで、彼らが疑うのに十分すぎます」
良盛が、言葉を失った一吾郎に解説する。
「片桐さんは本庁のキャリアで、桜技流を憎むグループと関わっていた可能性が高いです」
「確か、『父親が怪異のせいで殉職した』と言っていたな……」
同意した一吾郎は、座ったまま、腕を組んだ。
少し悩んだ良盛が、自分の推理を披露する。
「私の想像だから、注意してくださいね? 片桐さんは、アンチ桜技流で幹部か、リーダーの立場。それでいながら、槇島さんが認めるほど、冷静に交渉していた。熱量をもってね?」
「ああ……」
「戻ってきた片桐さんが、桜技流を認めるような発言をしたら……。アンチ桜技流のグループは、彼をどう思うのか?」
「それは……」
言葉に詰まった、一吾郎。
良盛は、淡々と述べる。
「さぞや、失望したでしょうね? 御神刀を奪えなかっただけなら、槇島さんと会ったことや情報が成果になる。だけど……自分たちを裏切ったのであれば、何らかの制裁を与えなくては収まらない」
ソフトドリンクを飲んだ後に、良盛は口を開いた。
「性急に始末したことから、よほど感情的になったのでしょう……。アンチ桜技流といっても、『謝罪させたい』『元の状態へ戻したい』『彼女たちの技術が欲しい』のように、方向性が分かれているはず! 輪を乱さないため、片桐さんを消した」
あくまで、私の想像です。と続けた。
「仮に……そうだとして、俺が危険になる理由は?」
「片桐さんが、アンチ桜技流の情報……例えば、参加者のリストや実情、目的を教えた可能性があるから」
考えている一吾郎を見て、良盛は分かりやすく表現する。
「彼らは秘密結社のような存在で、我々も把握していません。心配する彼らが、安心するためには……」
――あなたを消すか、拷問したうえで殺すのが、一番早いですよ?
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