第34話 女神降臨

寝袋は意外とぬくぬくしていて暖かかった。

外で使うような物だったから、逆に暑かったかも。


隣のベッドではアンがまだ寝ていた。

一人で来てたらこんなことにならなかっただろう。

意外と楽しんでいる自分がいた。


寝袋から抜け出して、アイテムボックスに寝袋をしまう。


「今日はどうしようかな…。」

伸びをして、深呼吸をする。



***



女神ラシーネは、異世界転移させたミライの様子をずっと見ていた。


「何故だか勘違いしているのよね…あの能力は望んだものを作成する能力――チートなんだけどなぁ。」


「教えてあげようかしら…。」


下界を覗き込み呟く女神。


「放っておいていいんじゃないか?あれはあれで面白いし。」


女神の友達フィンはどうでもいい様子だ。

子供の背丈だが、もう大人である。

ラシーネと姿格好がそっくりで姉妹の様だ。


「やっぱり放っておけないわ。行ってくる。」


「え!ちょちょっと!」

フィンは止めに入ろうとするが静止を振り切って転移してしまった。


「しょうがないな~。私たち行くだけで大騒ぎになるのに忘れてんのかしら…。」




目の前に超絶美人が立っていた。

あれ?でもどこかで見たような気がする…。


ドアはカギがかかっていて開かないのだけどどうやって入ったのだろう?

「ん~?」


「あの、憶えていますか…私は…。」


「ひぇっつ!ミライあんた女の人連れ込んで!見損なったわ!」


アンが目が覚めたらしい。

タイミング悪い…。


「あ、いえそういうのではなくて…。」


俺に突っかかるアン。

怒りに任せて拳が飛んできた。


殴られる!と思ったが…いつまでも拳は来なかった。


アンはベッドの上で眠ってしまった。

魔法なのかな?


「ふう、ごめんなさいね。私が現れたからね。ここに来る前にもう少し教えてあげれば良かったわ。」


上品な佇まいの…あ!


「女神様ですか?どうして急に?」


すっかり忘れていた。

ていうかどうしたんだろう。


「能力の事だけど…。」


俺は貰った能力についてだいぶ経っていたけど…教わった。

知識の能力は思っていた通りネットの検索機能に近い物らしい。

地図はいいとして。

引き寄せって思っていた能力は物体を創造する能力だった。


「なるべく具体的に思った方が形になるの…。だから見知ったものが作れたのだと思うんだけど。」


そうだったんだ。

異世界に干渉できるなら俺帰れそうだしね。

ちょっと変だなって思ってたよ。


アンに関しては少し記憶を消したらしい。

まあ、寝ぼけたんじゃないの?っていえば誤魔化せそうだけど。


「困ったことがあったら呼んでね。いつでも見てるから。」


手を振って女神は消えていった…。


というか最初からちゃんと聞いておけば良かった…知ってればもう少し上手く出来ただろうに。


過ぎたことは後悔しても仕方ない。

これからどうしようか。


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