第32話 海

ザザザ・・・・


俺たちは海へ来ていた。


「わぁ凄い~。初めて来た~。」

アンはその風景に上機嫌だ。


青く透き通った海水。

波が打ち寄せる。

めちゃくちゃ綺麗だな。

俺は感動していた。


「水が沢山あるんだね…。」


アンはたまらず砂浜から海へ近づいて…。


「しょっぱ…。」


海水を手に取って舐めてみる。


「とても飲めそうにないね…。これだけ水があればすごいなって思ったんだけど。」


塩分めっちゃ濃くて、塩辛いのが海。

海から塩を取り出した人天才かも。

ここから塩取り出せないかな。

教会からお布施で譲ってもらった塩もいつかは使い切ってしまう。

自分で作れたらと思った俺は…。


海水を持ち帰ることにした。

アイテムボックスから購入した樽を出す。

樽に海水入れても大丈夫だろうか?

最初はそう思っていたのだが、アイテムボックスの中は時間が経たないらしい。


それに気が付いたのは、この間アイテムボックスから食べ物を出したときだ。

何も考えずにしまっておいた食べ物を取り出す。

冷蔵庫でもないから普通は腐っても変じゃない。

それが買った時のように新鮮だったのだ。


ヒシャクを使って少しずつ入れていく…始めて見たらかなり時間かかりそうだった。

魔法で一気に入れられないかな。

魔法を使えば出来そうだな。

水を操る魔法を使ってみる。

まだ扱い慣れてない魔法に苦戦しながら、なんとか海水を樽に入れることに成功した。


「ミライってば、いつの間に魔法使えるようになったの?」

夢中になっていて隣にいたアンの事を忘れていた。

そういえばアンには見せたことがなかったな。



****



数日前…俺たちは思い切って、旅に出ることにした。

海が見たい…ただそれだけだったけど。

お金が貯まったらって最初は考えていたけど、いつになるかわからなかった。

そもそもどのくらいまでなら安心なのか?


以前の世界なら、電車代とか飲食費とかホテル代とか考えていただろうけど。

この世界に来てから、お金が無くても何とかなると気が付いた。

寝泊りはテントあるし、食べ物は思ったよりお金がかからない。

現地調達って手もある。

俺のスキル、この世界の知識で何でも出来る。

インターネットみたいなものかな?


海に行くために旅に出る…ファーレンさんは驚いていたけどね。

村の外には魔物とかいたり、ましてや盗賊なんかもいるし。

最初は俺一人の予定だったけど、アンがどうしても一緒に行きたいとゆずらなかった。

魔物に遭遇することもなく無事に到着した。

海までは5日かかった。


「目標が叶っちゃったな。」


「海来たいって言ってたもんね。すっかり忘れてるかと思ってたよ。」


二人で海を眺めていた。

波の音、潮風の香りが心地いい。

ずっとこうして見てられる。



「これから、どうするの?」

アンが聞いてきた。


「せっかくだし、港町行ってみない?」







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