2-5 就活のはじまり

 卒論のテーマを決めた僕は、学業と並行して進めている、就活の方へ力を入れようと思った。どんな職に就くか、漠然と考えていた。

 実を言うと、僕は学校の先生になりたかったのだ。幼い頃からの憧れで、将来は中学校の先生になるべく、向陽大学の教育学部へと入学したのだった。

 ところが、人生の転機は大学三年生の教育実習の時に訪れた。理想と現実の大きなギャップ。僕の抱いた教職のイメージと、現実とがあまりにかけ離れていたのだ。結局僕は、大学三年生で人生の再設計をやり直さなかえれば、ならなかったのである。


 就職解禁は、大学四年生の六月から。そのためゼミを選び直し、卒論の割と楽なゼミを選択したのだった。社会学研究者の五色教授のゼミに入り、一年間かけて卒論に取り組むことにした。


 そして自己分析などの就活を始めたのだった。とりあえず、幼い頃から服が好きだったので、アパレル・メーカーにでも就職して、営業の仕事をしてみようかと考えていた。

 僕はハローワークが主催する合同企業説明会に参加し、地元の大手企業である「山河ソーイング」という会社の面接試験を受けることにした。


 入社試験があったのが七月一日だった。一般常識と面接が試験科目だった。

「この位だったら、八十点はいけるかな」

 一般常識の問題を解きながら、僕は心の中でそうつぶやいた。

 その後、僕は筆記試験に合格して面接試験へと臨んだ。そして面接をなんとかクリアし、一つめの内定通知をものにしたのだった。


 そうして僕は、大学四年生の夏休みを迎えたのだった。

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