第50話 恐怖?の拷問パート1

「お手柄ではないかラヴィアン」


 ラヴィアンに招集された、ロビン、ミーナ、ジュナ、翠の5人が、今回の作戦リーダーと名乗る妖術師エンチャンターモーリー(正座中)を取り囲んでいた。



「楽勝でしたけどね。皆さんもそうでしょう?」


 ラヴィアンは無傷で再び勢ぞろいしたメンバーを振り返り声を掛ける。

 後ろに控える4人は一仕事終えた後のような、どこか満足げな表情を浮かべていた。


 その中にあって状況判断に人一倍長けたロビンは、この場の最適解を求め、ラヴィアンの前に出ると、正座したまま項垂れているモーリーに向かって声を落とした。



「うむ。見る限り、あの程度の連中には遅れを取る者はここにはおらぬようだな。――それより、妖術師エンチャンターモーリー。うぬは今回の作戦リーダーとのこと。我もやりたくはないのだが、時間がないのだ。今からうぬを拷問をかけるが悪く思うなよ」


「え? ワシ、拷問されるんでっか」


「そうだ。痛い目に遭いたくなければ、知っていることを全て吐け」


「ぐぬぬ……、ワシはこれでもデスアカ七賢人にして、作戦リーダーの端くれや。根性見せてなるべく耐えたるで」


 モーリーは弱々しい決意を口にして、ロビンを見据える。



「なら、我から行くぞ。相当にキツイだろうからとっとと吐くことをお勧めするがな、くひひ」


「な、な、何をする気や!?」


「これを見ろ」


 ロビンはローブの袖から一枚の写真を取り出した。



「そ、それはワシの彼女の写真!? アンタまさか、彼女に危害を…!!? え、ウソでしょ!? しょっぱなから、そんなメンタルに風穴空けるような、どえらい拷問カマしてくるヤツおる!?」


「くひひ、我を誰だと思っておる? 死霊魔術師リッチだぞ。非道な行いはむしろ快楽しか感じぬわ」


「やめろぉぉ! それだけは勘弁したってなああああ!!」


「無駄なあがきよ。では行くぞ。うりゃっ!」


 ロビンが写真に向かって杖を振ると、そこに写るモーリーの彼女が着ていたカーディガンがパッと一枚消えて、その下に着ていた白いシャツ姿に変わった。



「どうだ?」


「え? どうって?」


「うぬの彼女は、今この写真と同じタイミングで服が消えておる。どうだ、彼氏としては地獄の苦しみだろう?」


「あのぉ、と言うことは、このままワシが耐え続けていけば……」


「くひひ、その通りよ。この女は次々に服が剥ぎ取られて、いずれは大衆の面前でマッパとなろう」


「いや、そんなんむしろご褒美ですやん!! あのアマ、付き合ってもう1カ月経ってんのにめっちゃ堅くて、服を脱がせるどころか手すら握らせてくれへんねん! お願いしますわ! 夜のオカズにさせてもらうさかい、もっと脱がして、ワシの記憶の隅々に刻み付けさせてもろてええでっか!」


 股間を押さえ、床にゴロゴロと転がりながら身悶えするモーリー。

 どうやら本気で興奮しているようだ。 



「何してんのロビン。拷問相手を喜ばせてどーすんのよ?」


「ぐぬぅ、まさか我の精神攻撃が利かぬとは……」


「もういい! アタシに任せなさい」


 ロビンのうっすい拷問に痺れを切らしたミーナが名乗り出る。



妖術師エンチャンター。アタシはヴィルヘルミーナ・アルヴェスタ・ラバン。なぁ、アタシの二つ名は知ってるかい?」


「あ、アンタは戦火の凶姫ヴァルキリープリンセス


「そうよ、アタシはあのリューヤに負けず劣らずのどSだからね。やり過ぎて一生消えないトラウマが残っても知らないわよ」


「そんな、殺生な! ワシ、そこまでされるほど悪いことした覚えはあらへんで!」


「うるさい! だったら、とっとと情報を吐きなさい!」


「ぐぐぐ……ワシにもプライドがあるさかい、可能な範囲で耐えてみせまっせ」


「ふぅん、なら仕方ないわね」


 ミーナは腰に差した剣をスラリと抜くと、その切っ先をモーリーの眼前に向けた。



「アハハ、今からアンタに死ぬまで消えない屈辱を味わわせてやるぜ」


「ひぃぃぃ!」


 ミーナは剣をそのまま下に降ろしていく。

 剣によってモーリーのフードは首回りから、ゆっくりと下に切り裂かれ、やがてその上半身が露わになった。



「どどどど、どーよ?! 恥ずかしくて死にそうでしょ? アンタは今、ここにいる女子全員に上半身裸を見られてるんだぜ。やめてほしかったら情報を――」


「何コレ!? めっちゃご褒美ですやん!! 今ワシ、可愛い女子に上裸を見られてるぅ! なぁヴィルヘルミーナさま、お願いですわ。ぜひその剣でワシのパンツもバチクソに切り裂いたってえな!」


 モーリーは興奮のあまり、息遣いが荒くなっている。

 拷問をかけている側だったはずのミーナは思いっきり赤面し、「あわわわ……」と目を回す始末だった。



「だから、精神攻撃が薄いんじゃ!」


 逆に精神攻撃を喰らったミーナに、狐獣人ルナールのジュナが声を掛けた。



「な!? しししし、仕方ないじゃない! えっと、ジュナ。じゃあアンタならコイツに口を割らせることができるっての!?」


「ふむ、愚問じゃな。おヌシはそこで黙って見ておれ」


 ジュナは不敵な笑みを浮かべると、ズイっと床に腰を下ろすモーリーの前ににじり寄る。



 ――初心うぶな少女たちによる必死の拷問は実を結ぶのか?


 このしょーもない拷問編(作者自ら言っちゃってる 汗)は後半へと続くのであった――



>>次回は「恐怖?の拷問パート2」と言うお話です!

――――――――――――

★作者(月本)の心の叫び


いや、女子たちうぶすぎるやろがい!

と思われた方。

大丈夫です。作者も全く同感なのです(;・∀・)


ただ、そこは作者のフェチが出てしまっているかもなので、ヌルっとした生温かいテンションで見守っていただけたら幸いなのです(ΦωΦ)フフフ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る