第23話 VS魔族with主人公 ①
「おいおい! マジかよ! 神は常に傍観してたはずだろ!?」
魔力で4本の腕を作り、唾を飛ばしながらそう言う男。
『俗世の私に戦闘能力はない』
男の言葉を無視したまま、ポツリポツリと言葉を繋ぐアーティシア様。
『風と芸術を司る私は……貴方たちに勝つので精一杯』
「勝てんのかよ!」
「ザイン! 勝手な行動はよしなさい! 彼女は風魔法、石化、溶解などの能力を使います!」
『よくご存知。魔王から聞いたのかな』
風と共に浮かび上がり、一瞬で2人の背後に回り込むアーティシア様。
『今はもう使えないけど』
「「ッ!?」」
背後に回られていたことに気づき、2人は振り向きざまに腕と剣を振るう。
2人の攻撃はどちらもアーティシア様の胴に吸い込まれ、アーティシア様の御身をバッサリ斬り裂いた。
しかし次の瞬間、いつの間にかアーティシア様の身体は元通りに戻っていた。まるで斬ることのできない風を斬ろうとしているかの様。
「身体が風? どう殺せばいいんだよ!」
「今の我々が神に敵うはずもないでしょう……隙を見つけて撤退をする他……!」
「ねぇだろ……隙なんて」
『ん…………あっ。…………寝てた』
「大分ありそうですが……」
目の前で行われる人間とはかけ離れた戦闘。
アーティシア様はただただ斬られるだけで一向に反撃をしない。何かを狙っているのだろうか?
『地下に堕ちた私たち七神のかつての力…………それらは全て』
「だぁあああ! うぜぇ! どうやったら斬れるんだよ!?」
『使徒に託した』
そう言うと、アーティシア様は急に姿を消した。
「…………消えた?」
「気まぐれかは分かりませんが…………今のうちに撤退を」
「あぁ……だな」
魔族の2人が翼をはためかせ、今にも飛び立とうとする。
「おい、女。運がよか……ッ!?」
魔族の男が私を指指し、何かを言おうとした時、ドゴォォンという大きな音と共に土煙が巻き上がった。
「よし、誰も死んでないな。死にそうではあるけど」
が晴れると、そこにはついさっきウコンを倒した謎の男、ロサリオが立っていた。
♢
目の前には2人の魔族。
ここを離れようとしていたみたいだが、俺の乱入によってその動きを止めている。
先ほど主人公と決闘した冒険者ギルドの裏庭には、多くの冒険者が倒れていた。
意識があるのはヒィロンのみか。運がいいのか……敢えて攻撃されていないのか。
倒れている全てのも者を対象に回復魔法をかける。すぐに回復させるのではなく、時間のかかる回復魔法。魔族と戦うなら魔力はなるべく取っておきたいからな。主人公以外の倒れている全冒険者を水球で包み、治療を始める。
主人公だけは別だ。コイツには一緒に戦ってもらう。正直、魔族がどれくらい強いかはは未知数だしな。
一気にフルヒール。
「何しれっと回復してんだよッ!」
「落ち着けよ。ちゃんと相手してやるから」
親父と違い、殺意がダダ漏れだ。
見ずともどこが狙われているかが分かる。
護身用の短剣を抜き、振り向きざまに攻撃を弾く。
魔族の男が驚いたように目を見開く。
「ほらよ」
「ゴハッ!?」
弾かれてよろけた男の頭を回し蹴りで吹っ飛ばす。
冒険者ギルドの壁を突き抜けてデカい音を立ててどこかに激突した魔族を見ずに主人公に魔力を分け与える。
……うおっ!? 結構もってかれたな。大体1500くらいいかれたか?
ってことはあのワープも700くらい使うのか。
俺の魔力が今10000くらいだから…………まぁ、主人もいずれ気にせず使えるようになるだろう。
「ん……うぅ」
「おい、起きろ。敵だ」
「………敵? あっ! 魔族!」
バッと起き上がる主人公。
起き上がったのを確認してから俺は主人公の後ろで、未だ震えているヒィロンに近づいた。
「ヒィロン。今からお前らを屋敷に飛ばす。俺の侍従と親父が保護をしてくれるから安心しろ」
「何を言っ…………きゃあああああ!?」
腰を抜かしているヒィロンと治療をしている冒険者を風魔法で俺の家の屋敷の方に飛ばす。
後はラミィと親父がなんとかしてくれるだろう。
「手伝え。魔族を片づける」
「分かった!」
剣を抜き放ちそう言う主人。あ、俺も剣貰っとけばよかった。護身用の短剣しかねぇ。
辺りをキョロキョロ見渡し、運良く冒険者が落としていた片手剣を拾う。
「おい! 人間のくせにやるじゃねぇか! 痛かったぞ!」
吹っ飛ばした魔族が翼で空から帰ってきた。
「もう戻ってきたのか。早かったな」
「ハハハッ! お前だな!? バカデケェ魔力を垂れ流した人間は!」
バカデカい魔力を流した? なんのことだ?
もしかして主人公と戦った時のことを言っているのだろうか。
かなり頑丈なドームを作るのに魔力を2000くらい使ったからか?
「しゅじ…………ウコン」
「なに?」
「俺が戦う。逃げ遅れた人に被害が出ないよう、流れ弾の対処を頼む」
「わかった。気をつけて!」
主人公が後ろに飛び退いたのを確認すると、俺は迷わず2人の魔族を岩のドームで包み込んだ。
【あとがき】
最近原神のし過ぎで小説を書く暇がありません。大変です。
フォローや星をいただけるととても嬉しいです。よろしくお願いします!
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